2005年5月31日

2005年5月

1992年のゴーリーたち 05/5/30
ある事件 05/5/29
A Midsummer Night's Dream 05/5/27
王様と騎士と聖人 05/5/26
去年の話 05/5/25
プレーオフMVP 05/5/23
「テロリストのダンス」 05/5/21
ホッケーのトリビアなネタ 05/5/20
謎のピアノマン 05/5/19
ビリー・ワイルダーの映画 05/5/18
世界選手権ビデオ 05/5/17
朝まで世界選手権 05/5/16
セイバーズ対フライヤーズ 05/5/15
やったね、アフィン! 05/5/14
接戦の果てに 05/5/13
オーストリアとヴァネクのこと 05/5/11
交流戦と世界選手権 05/5/9
「バッファロー66」 05/5/8
「地球の静止する日」 05/5/6
辰巳国際水泳場 05/5/4
なんだかなあ。 05/5/1


1992年のゴーリーたち 05/5/30

 NHL公式サイトの新しいビデオは92年プレーオフのゴーリー・ベスト10。
 実は、これまでハイライトをいくつも見てきて、いつもゴーリーが打ち込まれるシーンばかりでかわいそうだなあと思っていたのである。
 そんなわけで、ついに出たかのゴーリー・ベスト10。ベルフォアとかロワとかリクターとか、当時活躍したゴーリーが登場するが、この年はペンギンズが優勝したので、1位はバラッソだった。
 ちなみにセイバーズはドレイパーという人。彼はこのシーズンとプレーオフでだけ、スターターとして活躍できたゴーリーなのだそうだ。もともとはダレン・パッパがナンバーワンであり、次のシーズンにはハシェックが来てしまう。
 スケーターにも興味深い人達が映っています。


ある事件 05/5/29

1 プロ野球交流戦のある事件(笑)。
2 ホッケー世界選手権決勝戦のある事件(悲哀)。

 プロ野球交流戦もあと2週間ほど。楽天が中日に3連勝、そのあと阪神にも勝って4連勝と、なかなか楽しませてくれる。パリーグのチームに弱い中日が、実は50年間、日本シリーズでパリーグに勝ってないとか、面白い裏事情があるものだ。
 で、今日は昼間、Jスポーツで千葉ロッテ対横浜を見ていた。交流戦ではビジター・チームのマスコットも登場するので、千葉マリンスタジアムには横浜のマスコット、ホッシーたちも来ていたのだが、グラウンド整備の間のアトラクションで、ロッテのマスコット、マーくんとホッシーくんが旗取り競争していたら、マーくんが転んで頭のかぶりものが取れてしまったのを、テレビがばっちり映してしまったのだ。
 アナウンサーはこのとき、他球場の経過を読み上げていたので、画面は見ていなかった。で、解説者いわく、「子供に見せちゃいけませんね」なるほど、小さい子供だったらショックを受けるだろう。でも、年末の珍プレーに使われるのは間違いない。ちなみに、ホッシーくんはマーくんを気遣っていました。

 「ザ・ホッケー・ニュース」のサイトに出ていたちょっと気になるニュース。世界選手権の決勝戦では、最後の最後になって大乱闘が始まってしまった。そのとき、ヒートリーがヴォクーンに向かって「F……チェコ野郎」と何度も言ったので、ヴォクーンが「おまえなんか刑務所に入ってろ」と言ってしまった。怒ったヒートリーはヴォクーンの腹を一撃。しかし、ヴォクーンは発言を後悔し、試合終了後に謝罪しようとしたが、ヒートリーはヴォクーンに会おうとしなかった。結局、ヴォクーンのエージェントがヒートリーのエージェントにわびを入れたのだが、ヒートリーの側の見方は今、書いたようなこととはいくぶん違うらしい。だが、2人のエージェントはこれ以上のことは公にしないとしている。ヒートリーは交通事故でチームメイトを死なせてしまい、裁判で執行猶予になっている。


A Midsummer Night's Dream 05/5/27

 NHLの労使交渉、リーグ側と選手会側の話し合いがこのところずっと続いていて、あちらのメディアからは楽観的な雰囲気が伝わってくる。TSNのファンの投票でも、ミッドサマーまでに解決するが58パーセント、解決しないが42パーセント。で、このミッドサマー、いつのことだと思いますか?
 答えは6月下旬。ミッドサマー・デイはバプテスマのヨハネの祭日といい、6月24日のこと。で、ミッドサマー・ナイト(またはイヴ)というとその前夜。昔は魔物たちが活躍するとされた夜。そう、あの、シェイクスピアの「夏の夜の夢」。
 日本では長らく「真夏の夜の夢」と訳されてきたが、日本の真夏は8月なのでこれは誤訳。今では「夏の」と訳す方が多いが、それでも「真夏の」にしてしまう映画などがある。
 ミッドサマーまであと1カ月近くあるけれど、バッファローの現地時間で27日夜に、例の疑惑のゴールの試合が放送される。1999年6月、スタンレーカップ・ファイナルに進出したセイバーズがダラス・スターズと対戦、2勝3敗で迎えたバッファローでの第6戦で、ハルの疑惑のゴールでセイバーズが負けてしまった試合だ。この疑惑のゴールはあちらでははっきりと「ノー・ゴール」と呼ばれている(詳しくはこちらへ)。
 放送を前に、セイバーズ公式サイトではこのシーンのビデオをアップしている。
 アデルフィアが4月から放送してきたセイバーズの試合はこれが6つ目。来週金曜に7つ目を放送して終わりになる。7つの試合の内、実は負け試合はこの「ノー・ゴール」だけ。バッファローの人達は負けたとは思ってないでしょうが。
 ビデオには、ファイナル進出で盛り上がる観客席も映っている。これもまた、夏の夜の夢だったのだろう。
 最初の話題に戻って、労使交渉の行方に関するもう1つのファンの投票結果を。SLAM!では、解決するが34パーセント、しないが14パーセント、どうでもいいが52パーセントだった。TSNもSLAM!もカナダのメディアである。


王様と騎士と聖人 05/5/26

 昔からフランス文学やフランス映画が好きで、大学時代にはフランス語も一応やってたから(卒業後はまったくやってないので、今はだめです)、フランス系の名前はよく知っているつもりではあったけれど、NHLを見るようになったら、王様(ロワ)とか騎士(ルカヴァリエ)とか聖人(サンルイ)とかいう名前が出てくるので驚いた(3つとも、ライトニングにいる選手の名前だ)。

 ロワ(Roy)は王様を意味するroiから来てるんだろうと勝手に想像してるのだが(調べないといかんな)、ルカヴァリエ(LeCavalier=The Knight)はチェスの騎士、サンルイ(St.Louis)は聖人に列せられたルイ九世のことなのだ(サンルイはフランスのグラス・メーカーの名前でもある)。
 このうち、ロワというのは、アン・ドゥー・トロワのトロワ、トワ・エ・モワ(年バレバレだな)のトワやモワと同じ母音なのだが、パトリック・ロワのことをワーと呼ぶ日本のファンが多いので、???と思っていたところ、「Hockey Register」というNHL選手閻魔帳のロワの項を見たら、「WAHと発音する」と書いてあった。
 そうなのか、英語ではロワはワーと発音するんだ、と深く納得してしばらくたったあと、NHLサイトのビデオを見たら、れれれ、ちゃんとロワと発音してるように聞こえるぞ。フランス語の発音とはちょっと違うかもしれないが、でも、ちゃんとRが入ってる。
 フランス語では、ロワは「ルワッ」というような音になるのだと思う。特にフランス語のRは独特の音で、いつだったか、テレビの「英語でしゃべらナイト」にルロワ(LeRoy=The Kingね)というフランス人が出演したとき、パッくんはRをしっかりフランス語で発音していた。
 で、改めて考えてみると、英語のWAHは「ワー」じゃないのである。どちらかというと「ゥワァ」て感じじゃないだろうか。そして、「ゥ」から「ワ」に移るとき、自然と舌が丸まって、Rが入るのではないのだろうか。そういや、大学時代、音声学もちょっとやってたんだよね。卒業したらやめてしまうって、まったくもったいなかった。
 フランス語をやめてしまって後悔しているのは、大好きなピアニスト、サンソン・フランソワの肉声の入ったCDやフランス語の解説書が手元にあるのに、意味がわからないこと。続けることの大切さに気づいたときは遅いのだった。
 日本のファンが「ワー」と呼ぶのは、多分、親しみをこめてなのだろう。でも、スティーヴン・キングをフランス語にすると、ステファン・ロワになるのね。ホラー作家とは思えん。


去年の話 05/5/25

 先だっての世界選手権、「ロシア、銅メダル獲得、おめでとう!」と喜んでいたら、「準決勝にカナダに勝っていたら優勝だった。準決勝で今日のような試合ができていたら」というぐちぐちのコメントがチーム・ロシアから出てきて、なんだかがっかりしてしまった。
 確かに、ロシアは予選ではチェコに勝ってる。でも、それを言うなら、去年のチェコは予選でカナダ(金メダル)に勝ってたんだが。
 そのカナダも今年は銀メダルで、「ほかのチームなら喜べるんだろうけど、自分たちは」とぐちぐちのコメント。まあ、そんなもんだろうねえ、エリート・チームは。(以下は去年の世界選手権の話です。)

 で、ホッケーのトップレベルの世界ではアンダードッグなのがアメリカ。おととしの世界選手権は13位だかなんだかで、これじゃ、トリノ五輪の切符が取れないと、去年はかなり必死だった。
 しかし、例によって、アメリカ人は国際大会なんか出たくねえという人が多い。去年はNHLのプレーオフをやってたので、プレーオフに出られない選手に依頼するのだが、疲れてもいなけりゃケガしてるわけでもないのに断るのだそうだ。それでも昨年はキャプテンのクリス・ドゥルーリーを中心にNHLの若手が多く参加した。目標はとにかくトリノの切符。いや、その前に、とにかく1勝して予選第1ラウンドを突破すること、という、つつましい目標を掲げていたのだった。
 ところが、初戦のフィンランド戦は、逆転負け。観客席からゴーリーに向かってペットボトルが投げ込まれた。でも、そのあとは勝ったり負けたり引き分けたりで、なんとか決勝トーナメント進出。そして、準々決勝で優勝候補筆頭のチェコを敗るという大波乱を演じてしまった。世界選手権完全無視のアメリカのテレビもあわてて準決勝を放送。アメリカはスウェーデンに1点差で敗れ、3位決定戦でスロバキアを敗って銅メダルを獲得した。

 去年の世界選手権でアメリカに注目したのは、ドゥルーリーがキャプテンをしていること、3月にセイバーズに来たグリアとジルソンが選ばれていたこと、それに、トリノの切符がかかってるのにNHL選手は出てくれない、という嘆き節を読んで、じゃあ、応援してやろうか、と思ったからである。そして、実際、チームUSAは私を楽しませてくれた。まず、予選ラウンドでは、シャターンがキャプテンをつとめるスロバキア戦でドゥルーリーがまとめて25分のペナを取られた。なんでも、NHL式のラフ・プレーをしてしまったかららしい。で、試合後、地元のテレビのインタビューで、真っ赤になって怒っているドゥルーリーが映し出されたのだそうだ。
 スロバキア戦は引き分けだったが、その後、アメリカは勝ち星をあげた。ドゥルーリーの喝がきいたのだろう。
 準決勝ではスウェーデンに1点差で敗れたけれど、ゴーリーMVPを受賞したコンクリンが出ていたら、あるいは、と思わないでもない。アメリカはコンクリンとダナムを交互に使っていた。3位決定戦ではコンクリンが出ている。
 銅メダル獲得後のドゥルーリーたちのコメントもさわやかだった。実際に見たわけではなく、記事と写真で追いかけただけだけれど、それでも十分楽しませてもらえた。
 
 アメリカとカナダは若手でまとめ、最初に決めたロースターをほとんど入れ替えなかったのも印象的だった。他のチーム、特にスウェーデンはプレーオフ敗退組のスター選手が次々と参加、メディアの取り上げ方もひときわ大きかった。しかし、決勝でカナダに敗れたあと、コメントや写真がほとんど出なかったのが、それまでのメディアの取り上げ方と比べてあまりに対照的だった。

 以上は去年の5月の話。それから数カ月後、ワールドカップではチームUSAはまったく違うチームになっていた。もともと国を応援する気はない私にとって、04年世界選手権のチームUSAは、アメリカのチームというよりは、あのときだけの唯一無二のチームである。


プレーオフMVP 05/5/23

 NHL公式サイトにプレーオフMVPのビデオがアップされていた。1位はグレツキー、2位はロワなのだが、グレツキーはあっさり、なのに対し、ロワはもう、ハブス時代の映像たっぷり、ついでにコロラドの映像もあるでよの大盤振る舞いである。こりゃ、ファンは見逃せませんな。
 コロラド・ファンにはフォシュベリもあり。ついでにドゥルーリーも映ってるよ。
 このほか、マリオ、ジゲ、リチャーズなど、いろいろ。そして、ボビー・オアとか、ドライデンとか、ラフルールとかの古いぼやぼやの映像が、私にはたまらなくいいのであります(あのぼやぼやがいいのよね)。
 ほかにもレンジャーズの優勝シーンなどもあり。
 しかし、このビデオ・シリーズ、しばらくするとどこかに消えてなくなるのが実に惜しいのであります。ペンギンズ対デビルズ、どこに行ったのやら。


「テロリストのダンス」 05/5/21

 昨年夏に絶版になったのだが、各種ネット書店ではまだ在庫があるようなので、今のうちに紹介しとこ。
 この小説は南米に長く在住していたイギリスの作家ニコラス・シェイクスピアが1995年に発表した社会派サスペンス+ラブストーリー。ペルーのテロ組織センデロ・ルミノソのリーダーの逮捕をもとにしている。
 「マルコヴィッチの穴」などで有名な俳優ジョン・マルコヴィッチがこの小説を読んで気に入り、自身で監督しようとすぐさま映画化権を獲得。2002年にヴェネチア映画祭などいくつかの映画祭に出品されたあと、ヨーロッパで公開。翌03年にはアメリカで公開されたが、日本では04年にビデオとDVDが発売されただけに終わった(邦題「ダンスオブテロリスト」)。
 翻訳は99年に出版されたが、ほとんど注目されず。
 私がこの小説と出会ったのは97年。どうしても翻訳したいと思い、あちこちに頼み込んで、運よく翻訳させてもらうことができた。98年2月、深夜、テレビで放送される長野五輪のダイジェストを見ながら、原稿と原書を見比べ、訳文に手を入れていた私。当時はホッケーに関心がなかったが、長野五輪というと、スキーやスケートを横目で見ながら「テロリストのダンス」の推敲をしていたのがなつかしい思い出です。


ホッケーのトリビアなネタ 05/5/20

 たまたま目についた小ネタをご紹介します。
 まず、AHLプレーオフ、ロチェスターで行なわれたアマークス対ムースの試合にフロリダ・パンサーズのヘッドコーチ、ジャック・マルタンが現れた話。マルタンの両側の席は空いていて、明らかに同伴者はいなかったとのこと。何のために来たのかは不明。この近くに来たから試合を見ていっただけ?

 セイバーズ公式サイトで、「セイバーズで最も偉大なゴーリーは誰か」という投票をやっていたが、結果はわかりきっているので、すぐに終了してしまった。
 写真は選択肢の1人にあがっていたドン・エドワーズ。昨年12月のチャリティOB試合のもの。後ろ姿はマイケル・J・フォックス。
 99年のファイナル進出を決めた試合のビデオもアップされていた。前に別のサイトで見たことがあったけど、ペカがカンファレンス優勝のカップのそばにいるシーンは初めて見た。このカップには触ってはいけないのだとか(アンドレイチャクも触らなかった)。

 NHLの最近の話題は今年の殿堂入り候補選手のこと。それについて、ちょっと興味深い記事がありました。1972年のサミット・シリーズ、ソ連代表対NHL代表(事実上のソ連対カナダ)のうち、NHL選手は14人も殿堂入りしているのになぜソ連選手はトレチャクだけなのか、というもの。トレチャクは映画「ミラクル」にも登場した名ゴーリーで、NHLでプレーしたことがないにもかかわらず、殿堂入りしている。この記事の著者は、あのシリーズが歴史に残るものなら、当時のソ連選手をもっと殿堂入りさせるべきだと主張している。


謎のピアノマン 05/5/19

 イギリスの海岸をさまよっていた記憶喪失の謎のピアノマンが話題になっている。ついでに近日公開のイギリス映画「ラヴェンダーの咲く庭で」が便乗するように話題になっているが、こっちはイギリスの海岸に打ち上げられたポーランド人のヴァイオリニストの話で、彼は英語が話せないので、すぐに身元がわからなかっただけ。つまり、記憶喪失ではなかったのです。この映画はイギリスではとっくに公開されているので、仕込みではないと思う。
 やはり日本では近日公開のリュック・ベッソン製作の映画「ダニー・ザ・ドッグ」もピアノがらみの映画。主人公が幼いときの記憶を失っていて、ピアノになぜか関心を示す。こっちも便乗してもおかしくない。
 でも、この謎のピアノマンに一番近いのは、日本では3年前に公開されたジム・キャリー主演の「マジェスティック」だ。キャリー扮する脚本家がカリフォルニアの海辺に打ち上げられる。彼は記憶喪失で、しかもピアノがうまい。演奏するのはジャズばかりで、クラシックは苦手だが、町の若者たちとセッションをするシーンがこの映画の魅力の1つとなっている。
 謎のピアノマンについては情報が少ないのでよくわからないけれど、何かやらせっぽい感じはするなあ。顔もけっこう美形だし。ピアノの前に座って最初に弾いたのが「白鳥の湖」っていうのも、なんか変な感じがしないでもないし……。バレエの伴奏ピアニストなんでしょうかねえ?


ビリー・ワイルダーの映画 05/5/18

 このところ、秋葉原へ行くとDVDを買ってしまう。もともと映画は自宅で見るものではないと思っているし、ましてや所有するものだとは思わないのだが、1枚1000円とか1500円とかで、特典映像が満載だと、やはり手が出る。
 先日買ったのはビリー・ワイルダー監督の「サンセット大通り」(1950年)。ワイルダーは昔も今も私の1番好きな監督で、「サンセット大通り」もワイルダーの監督作品の中では2番目に好きだ。今でこそ、ワイルダーはコメディの監督として有名だけど、この頃は意欲的なシリアス・ドラマをいくつも作っていた。アルコール中毒を描いた「失われた週末」、事故を見世物にするレポーターを描いた「地獄の英雄」、そして、ハリウッドの虚飾と闇を描いた「サンセット大通り」。DVDには関係者の語る撮影秘話やカットされたシーンが収められている。
 一番好きなワイルダーの映画は「シャーロック・ホームズの冒険」(1970年)。彼の映画の中ではあまり有名な方ではないが、私にとってはロードショーに何度も通った思い出の映画である。日本ではビデオにもLDにもなっていなかったけれど、昨年、「ワン・ツー・スリー」、「ねえ、キスしてよ」、「お熱い夜をあなたに」とセットでDVDが発売された。4本とも過去に見たことがあって、そのうちバラ売りするだろうなあ、と思いつつ、大枚はたいて買ってしまった。で、あらためて本命以外の3本を見てびっくり。どれも不倫の映画だったのだ。しかも、不倫をまったく悪いとは思っていない描き方。現在のアメリカでは愛が冷めたら離婚するのが当然、不倫は許されない、という風潮が強いので、不倫を肯定するような映画はめったにない。日本映画のリメイク、「Shall we Dance?」にもその影響が大きく出ている。しかし、70年代くらいまでは、アメリカでも愛が冷めても離婚しない、あるいは、最初から政略結婚で愛がないというような状況が当たり前と思われていたのだろう。ワイルダーの映画で3番目に好きな映画「麗しのサブリナ」では、政略結婚が重要なモチーフになっている。また、「アパートの鍵貸します」は、上司が部下のアパートを借りて不倫する話。楽しい映画ばかりなので、あまり深く考えたことなかったが、けっこうきわどい内容なのだ。
 ところで、「サンセット大通り」と「シャーロック・ホームズの冒険」には、カットされた部分の台本がそのままDVDに収められている。しかし、これがひどく読みにくい。英語が読めても、ちょっと読む気にならない。「サンセット大通り」は日本語訳のパンフレットがついていて、助かる。


世界選手権ビデオ 05/5/17

 短いけど、とりあえず、さまざまな試合の映像が見られるサイトはこちら

 ロシア対フィンランドのシュートアウトで、決勝ゴールを決めるアフィノゲノフはここ

 このビデオはフィンランドのサイトのものなので、負けてしまったフィンランドの悲しみが、言葉がわからなくても伝わってきます。教えてくれたのは、セイバーズ・ファンのフィンランド人。「負けたのは残念だけど、アフィンが活躍してよかった」と掲示板に書き込みしてました。フィンランドでプレーしていたキャンベルやノロネンの情報を書き込みしてくれていたのもこの人。いい人だなあ。
 ロシア対スウェーデンの3位決定戦のとき、セイバーズとは無関係な北米掲示板で、なぜか、ロシアを応援しているフィンランド人がいました。北欧のライバル意識から、スウェーデンには勝たせたくないのだそうです。

 左上の写真は、3位決定戦でゴールを決めたアフィノゲノフ。
 ビデオはWindows Media(試合)とReal Player(アフィノゲノフ)です。


朝まで世界選手権 05/5/16

 ライブスコアと実況掲示板でロシアがスウェーデンに勝つのを見届けて、あとは決勝戦のライブスコアをちらっと見て寝よう、と思っていたのに、決勝戦2ピリからトロントのネットラジオを聞き始めてしまい、とうとう、表彰式まで全部聞いてしまった。
 ロシア対スウェーデンの3位決定戦は、しょっぱな4分以内にマキシム・アフィノゲノフが2ゴールしてロシアがリード。アフィノゲノフは話題のスーパー・プロスペクト、オベチキンとマルキンとラインを組んでいたので、この若い二人にアシストされての得点。2ピリには今度はアシストをして、この日、一番の活躍をした。セイバーズのマキシム・アフィノゲノフがロシアを銅メダルに導いた、なんていううれしい記事がTSNに出ています(その後、あんまりうれしそうじゃない記事に書き換えられてしまったが)。
 セイバーズ勢ではほかにディフェンスのカリーニンとプロスペクトのデニソフが参加していた。
 スウェーデンはゴーリーが調子が悪かったのか、1ピリで3点取られたあと、2ピリから別のゴーリーに交代。しかし、2ピリでまた3点取られてしまった。スウェーデンも3点を返したが、掲示板によると、ロシアはスピードのある実にいいチームらしい。特に、オベチキンとマルキンを中心とする若手がものすごくいいのだそうだ。
 続く決勝戦、チェコ対カナダは、こちらもしょっぱなにチェコが得点。その後はなかなか点が入らなかったが、3ピリにまたチェコが得点。最後はエンプティ・ネットにゴールして、チェコが3対0で優勝した。やたらと点の入る3位決定戦と違って、こちらは緊迫したゲームだった。ラジオで聞いていると、北米のゲームとはやはり雰囲気が違う。チェコの鳴り物入り応援がすごかった。
 チェコ・チームには、セイバーズのプロスペクトHejda(写真)と元セイバーズのヴァラダが参加していた(当初、ロースターに上がっていたコタリクは出場せず)。それもあって、チェコを応援していたのだけど、昨年のことを思い出すと感無量なものがある。昨年はチェコでの開催だったので、当然、チェコの優勝が期待されていた。実際、予選は全勝と、優勝候補筆頭だった。それを、穴馬的存在のアメリカが準々決勝で敗ってしまったのだ。そのチェコが今年は準々決勝でアメリカを敗り、そして優勝したのだから、完璧なリベンジである。
 アメリカについて言うと、去年はドゥルーリーがキャプテンをつとめていたので、私はアメリカを応援していたが、今年はセイバーズ勢は誰も出ていなかったので、わりとどうでもよかった。カナダも去年はブリエアが出ていたけど、今年は1人もなし。というわけで、なんとなくロシアとチェコに気持ちが入ってしまったのだった。ブリエアが出ていたら、もうちょっと違っていたかもしれない。
 さて、これで、私の04/05ホッケー・シーズンは終了です。


セイバーズ対フライヤーズ 05/5/15

 NHL公式サイトに90年代のセイバーズ対フィラデルフィア・フライヤーズのベスト10映像がアップされている。
 セイバーズとフライヤーズは1975年にスタンレーカップ・ファイナルであいまみえて以来のライバル関係。この90年代のビデオ映像もなかなか興味深い。現在のジャージと以前のブルー・アンド・ゴールドの両方が見られるし、ラフォンテーヌやモギルニーもいる。フライヤーズの方にはリンドロスがいる。そして、ゴーリーは、ハシェックとシールズの2人が映っている。
 97年のプレーオフ、1回戦のオタワ戦の最中にハシェックが記者に暴行、サスペンドとなって、バックアップ・ゴーリーのシールズが1回戦を乗り切った。しかし、サスペンドが解けてもハシェックはひざの故障を理由に出場せず、2回戦でセイバーズはフライヤーズに敗れたのだ。
 当時、ハシェックはヘッドコーチのテッド・ノーランと対立していて、ノーランをクビにするために出場しなかったのではないかと疑われた。実際、選手の中にははっきりそう言う者もいた。セイバーズはディヴィジョン首位だったが、プレーオフは2回戦敗退。ノーランはベスト・コーチ・オブ・ザ・イヤーを受賞するも、セイバーズから1年の契約オファーしか得られなかったので、コーチを辞退した。
 ハシェックがノーランをクビにするために出場しなかったのか、本当に故障だったのか、私にはわからない。ただ、セイバーズがノーランをクビにしたというのは事実に反している。
 このビデオ映像にはノーランも映っている。これだけまとめてセイバーズの試合の映像が見られるのは、私にはなんともありがたいことだ。


やったね、アフィン! 05/5/14

 セイバーズ・ファンからはマックスとかアフィンとかアフィノとか呼ばれているマキシム・アフィノゲノフが、世界選手権準々決勝、ロシア対フィンランドのシュートアウトで決勝ゴールを決めた。彼は今季、ロシア・リーグでもモスクワで優勝を果たしている。今日、土曜日はいよいよカナダと準決勝。もう1つのカードはスウェーデン対チェコで、こちらも楽しみだ。

 AHLプレーオフは結局、3敗の3チームが仲良く敗退してしまった。これでカナダ人のセイバーズ・ファンは心おきなくマニトバを応援できるだろう。他のセイバーズ&アマークス・ファンはというと、主力を何人も葬って勝ちやがったマニトバなんか応援できるか、という人と、相手のシカゴ・ウルヴズはAHLのヤンキース、金で補強してるチームだから応援したくない、という人に分かれている(あの辺はアンチ・ヤンキースが多いようだ)。なお、ウルヴズはブラックホークスの二軍ではない。間違える人がいるので、念のため(アトランタ・スラッシャーズの二軍です)。
 セイバーズではなくアマークスのファン、という人には敗北はつらいだろうが、セイバーズ・ファンからすれば、優勝よりも若手の育成が第一。その観点からすると、ゴーリーのミラーの弱さがやはり問題だ。去年もそうだけど、今頃の時期になると、やっぱりミラーはNHLレベルじゃない、ビロンやノロネンの方がまだまし、ということになってしまう。

 セイバーズの公式サイトのビデオ映像、うちのパソコンではなぜか見られなかったのだが、さっき、アクセスしたら、見られた!
 1999年プレーオフ1回戦のシャターンのOTゴールである。シャターンがゴールしたあと、うれしくて氷にはいつくばってるのが見られます。
 ついで、第4OTまで行って、ハシェックが70セーブした試合の決勝ゴールも見られた。
 ただ、やっぱり問題があるのか、ビデオを見たあと、パソコンが固まってしまう。アップデートしてないからだろうか。ご覧になるかたはご注意(ウィンドウズ・メディアです)。


接戦の果てに 05/5/13

 世界選手権準々決勝。カナダ対スロバキアとアメリカ対チェコは、第3ピリオドになって、ライブスコアが重くて見られなくなるほどの接戦だった。前者は4対4、後者は2対2。ライブスコアは「表示できません」でいらいらするばかり。しかたがないので、北米掲示板の書き込みに頼る。あっちも混乱していて、アメリカ対チェコのスレッドにカナダ対スロバキアの書き込みが突然、乱入。それに対し、「スレ違いだぞ」の書き込みが(笑)。
 そして、結局、カナダはスロバキアに5対4で勝利。一方、アメリカとチェコはオーバータイムに突入、それでも決まらず、シュートアウトとなって、チェコが勝利した。
 思えば、昨年の大会では、やはり準々決勝でアメリカとチェコがシュートアウトまでもつれ込み、アメリカが優勝候補筆頭のチェコを敗ったのである。しかし、昨年、シュートアウトを決めたアンディ・ローチは、今年は決められなかった。つまり、チェコのリベンジなったというところである。
 カナダ対スロバキアはスロバキアがリードしながら、逆転負け。アメリカ対チェコも、チェコの方が断然、シュート数が多かったのに、アメリカがリード。しかし、最後にはチェコが勝利を収めた。ディピエトロが受けたシュート数は52(シュートアウトを除く)。その内、50を彼は止めた(途中でラフィングもしたようだ)。
 50セーブしたディピエトロに祝福を! 負けても彼は誇らしく思っていい。
 さて、今度はロシア対フィンランド、スウェーデン対スイスが始まるが、深夜族の私もそろそろ寝る時間。結果は明朝、見よう。

 アマークスはディヴィジョン・ファイナル第4戦も逆転負けしてしまい、ついに王手をかけられた。4試合とも、1点差ゲームだった。トップ・スコアラーのヴァネクとポミンヴィルがいれば、状況は変わっていただろう。特にヴァネクの欠場は大きい。
 AHLプレーオフは現地時間金曜夜に4試合行なわれ、そのうち3つ、アマークスとシンシナティ・マイティダックスとウィルクスバリ・ペンギンズが王手をかけられている。3つ全部終戦ではあまりにも寂しいから、なんとか踏ん張るチームが出てほしい。1回戦で1勝3敗から3連勝したシンシナティでもいいし、神がかりなキオド・マジックのウィルクスバリでもいい。アマークスは第4戦でもケガ人が出てしまった。試合をするたびにケガ人が増えている。
 マニトバ・ムースの親であるバンクーバー・カナックスのファンが、アマークスがいかに若いチームかということを指摘していて、面白かった。アマークスは主力の大部分が80年代生まれの20代前半で、トップ・スコアラーの多くが二十歳をすぎたばかりなのだ。逆にムースは、主力にベテランが適度にいるのだそうだ。アマークスの選手は将来有望だが、プレーオフのような戦いにはまだ未熟だということなのだろうか。
 アマークスはシーズン終盤、あまりに連敗が続いていたので、ファンも関係者も驕り高ぶることがなかった。それが救いである。


オーストリアとヴァネクのこと 5/5/11

 何度も書いているように、今、オーストリアでホッケーの世界選手権が開催されているわけだが、皮肉にも、開催国オーストリアのディヴィジョン1への降格が濃厚になってしまった。オーストリアは現地時間の今夜8時すぎから最後の試合(対スロベニア戦)があるのだけれど、最低でも8点取って勝たないと降格なのだそうだ(詳しくはこちらへ)。
 世界選手権は毎年、最下位とブービー賞の2チームが下位のディヴィジョンに降格することになっている。ただ、次回の開催国が最下位2チームに入った場合は例外。その場合は下から3番目のチームがかわりに降格する。
 オーストリアは昨年、トマス・ヴァネクの活躍で、自力で今年の出場権をもぎとった。当時、ミネソタ大学所属だったヴァネクはオーストリア・チーム一の活躍をしたのである。弱冠二十歳でナショナル・チームをリードしたヴァネクは、昨年夏にセイバーズと契約、NHLがあれば確実にセイバーズでプレーしていたはずだが、ロックアウトのためにアマークスの一員となり、AHLの新人賞の最有力候補の1人になるほどの活躍をして、アマークスのリーグ首位にも大いに貢献した。
 そのアマークスはシーズン終盤、ケガ人続出で連敗続き、プレーオフは1回戦敗退と誰もが思ったが、ハミルトン・ブルドッグスをスイープしてしまい、マニトバ・ムースとの2回戦(ディヴィジョン・ファイナル)に入った。が、ヴァネクは2回戦を前にして、練習中にケガをしてしまった。最初の2試合を欠場したあと、3試合目に出場したが、ムースのディフェンスから激しいチェックを受けて転倒、途中リタイアしてしまった(頭部の負傷と脳震盪とのこと)。この試合ではディフェンスのデイヴィッド・カレンも負傷した。
 アマークスはブルドッグスをスイープし、続く2回戦の第1試合でも勝ったものの、すべて逆転勝ち。それも、相手ゴーリーが持ちこたえられなくなって勝てたという印象。正直、強いとはとても思えなかったが、案の定、第2試合は完封負け、第3試合は逆転負け。しかも、AHLのプレーオフは遠距離移動の場合は旅費の節約のため、2戦して移動、3戦して移動となる。だから、中3戦がホームのムースが断然有利なのだ。おまけにムースのゴーリー、ウェイド・フラハーティは昨年のミルウォーキー・アドミラルズのゴーリーである。アマークスは昨年、ブルドッグスをスイープしたあと、このゴーリーにやられているのだ。しかも、このフラハーティ、もともとセイバーズがドラフトした選手で、セイバーズが契約しなかったのでフリー・エージェントでシャークスに入り、その後、あちこちのチームを転々として現在に至っているらしい。妙な因縁があるものである。
 そんなわけで、アマークスもそろそろ終戦かなあ、という感じになっているのだが(弱気)、こんなことなら1回戦敗退して、ヴァネクが世界選手権に出ていれば、などということまで考えてしまう。もっとも、ヴァネクは今年の2月の五輪予選ではほとんど活躍できず、オーストリアは五輪出場を逃してしまったのだが。
 アマークスの明るい話題としては、セイバーズのプロスペクトで、ジュニア世界選手権でカナダ代表として活躍したクラーク・マッカーサーがアマークスと契約し、2回戦第3試合に出場して1アシストしたこと。マッカーサーはメジャー・ジュニアの選手で、プロの試合は初めて。なのにいきなりAHLプレーオフのディヴィジョン・ファイナルなので、大丈夫かと心配されているが、アマークスはとにかくケガ人が多くて大変なのである。「これ以上ケガ人出る前に敗退しようぜ」なんてやけっぱちな書き込みも掲示板にはあったりするのだが、スタンレーカップじゃないんだし、そういう気持ちにもなるのもわかるような気がする。


交流戦と世界選手権 05/5/9

 噂のプロ野球チップスというのを買ってみた。おまけのカードの袋を開けてみたら、広島カープの前田だった。このチップス、カード欲しさに箱で買う人もいるらしい。チップスはどうするのだろう。全部食べたら心筋梗塞まっしぐら。
 6日から始まったプロ野球交流戦。仙台の球場は楽天ファンでいっぱいだし、横浜スタジアムもロッテ・ファンがすごい。神宮もソフトバンク・ファンがたくさん来ているようだ。横浜対ヤクルトより交流戦の方が客が入りそう。パリーグは長年、巨人戦のテレビ放送権料が欲しくて交流戦をやりたがっていたが、収入が減るセリーグが猛反対。それがオリックスと近鉄の合併話から始まって、あれよあれよと1リーグ制の話になってしまったとき、「待った!」と声を上げたのがファンと選手会。パリーグが巨人戦の放送権料欲しくて1リーグ制に、という背景があったので、2リーグ12球団のまま、そして交流戦を、ということになったのだった。セリーグにしてみれば、1リーグ制になったら放映権料減るのは同じだからね。
 それにしても、パリーグは北海道から九州まで、日本全国にチームが散らばって、フランチャイズというものを実感できるようになってきたような気がする。

 オーストリアで行われているアイスホッケー世界選手権。予選第1ラウンドはチームの強弱がはっきりしていて、あまり興味が持てなかったが、第2ラウンドは実力伯仲してきて、引分も多く、結果を見るのが楽しみになってきた。ディフェンディング・チャンピオンのカナダが意外に苦戦しているように見えるが、昨年はチェコが予選全勝だったのに決勝トーナメントであっさり敗退と、予選ラウンドの成績は必ずしもあてにならない。
 第2ラウンドの直前、公式サイトにスロバキアのシャターンの記事が出た。前にこのブログでも書いたように、昨年は世界選手権の3位決定戦で敗れ、ワールドカップでは全敗という屈辱を味わったが、今年はスロバキア・リーグで優勝、プレーオフMVPも獲得して、今回の世界選手権に参加していることが紹介されているのだが、スロバキアを代表する選手はすでにホッサになっている感じ。ヘッドコーチはホッサの父親だし。昔の名前で出ています、になってしまうぞ、ダーク・プリンス(メイクなしでサタンを演じられそうな風貌なのだ)。
 降格のがけっぷちにいるドイツとオーストリアも気になるところ。なんか、今年は世界選手権に身が入らないなあ、と思っていたら、日本が降格で出ていないというのも大きな理由なのだった。


「バッファロー66」 05/5/8

 バッファロー出身のヴィンセント・ギャロが監督・主演した映画。日本では数年前にミニシアターで公開されて大ヒット。斬新な映像感覚とほのぼのラブストーリーが若い男女に受けたようだけど、けっこう地味なアート系映画。ギャロの故郷バッファローへの思いがさりげなく織り込まれているのだけど、この映画を見る限り、バッファローは寒くて暗そうで貧乏そう(?)。映画によく出てくるエリー湖や古い建物や高層ビルのようなお決まりの映像はない。
 面白いのは、主人公の母親がバッファロー・ビルズの大ファンで、ビルズを応援することに血道を上げていること。家の外壁には「Go Buffalo Go」の文字とアメフトのヘルメットの絵がでかでかと貼られ、母親はテレビでビルズの応援に余念がない。ビルズが優勝したとき、出産で試合が見られなかったのが一番の悔いで、「お前を産まなきゃよかった」とひどいことを言う(「ミリオンダラー・ベイビー」もそうだが、アメリカ映画には時々、こういうひどい親が出てくる)。
 バッファロー・ビルズは1970年にNFLに参入したが、それ以前のAFL時代、65年の年末に優勝している。NFL参入後は、90年代前半には毎年のようにスーパーボウルに連続出場するも、優勝はならず。90年代後半からは低迷している。
 つまり、66年から優勝に恵まれていないのだ。
 主人公は66年生まれで、だから、生まれてからずっと負け犬ということ。母親がああじゃ、息子はビルズ嫌いになってもおかしくないのだが、彼もやはり、ビルズが好きなようである。
 映画は彼が刑務所を出所するところから始まっている。親には、結婚して、仕事でよそへ行っていたと嘘をついている。だから、行きずりの女性を無理やり妻に仕立て、家に帰る。で、彼が刑務所に入ったわけというのが、金がないのにスーパーボウルでビルズに1万ドルを賭けてしまい、結果はビルズの負け。怒った胴元に、借金チャラにするから知り合いの罪をかぶって刑務所に入れ、と言われ、服役したのである。
 クライマックスで、主人公の頭をよぎる幻想のシーンがいい。母親は何があってもビルズの試合にしか関心がないのであり、自分の人生は別のところにあると、彼が悟るシーンだ。そこからラストまでは至福の時間である。


「地球の静止する日」 05/5/6

 ゴールデン・ウィークは絶好の行楽日和だったが、私は風邪をひいてしまい、おまけに腰痛にまでなってしまったので、家でDVDを見ていた。
 その中の1枚が1951年のSF映画「地球の静止する日」。中学時代にテレビで見て、とても好きな映画だったのだけど、それ以来、一度も見ていなかったので、がっかりするのではないかと心配していた。
 実はこの映画、最近、2本の映画に登場していた。1つはテルミンという電子楽器のドキュメンタリー「テルミン」(「地球の静止する日」はテルミンを効果的に使った映画だった)。そしてもう1つはジム・キャリー主演の「マジェスティック」。1952年、赤狩りの時代に共産主義者の疑いをかけられたハリウッドの脚本家が事故で記憶喪失になり、流れ着いた小さな町で戦死した若者と間違われ、父親だという男の持つ映画館を再興させる。そこで上映される映画の1つが「地球の静止する日」だった。
 「地球の静止する日」は空飛ぶ円盤でワシントンに降り立った宇宙人が、東西の冷戦と核戦争の危機に瀕した地球に対し、平和を守るように呼びかける映画だ。当時は宇宙人というと、H・G・ウェルズの「宇宙戦争」のような侵略型のものが多かったが、これは善意の宇宙人という珍しいタイプ。地球人を教育してやろうというようなところが少し鼻につくけれど、赤狩りの時代にこういう映画が作られたというのは驚きだ。アメリカ政府は宇宙人を敵視し、宇宙人は地球人の服装をして街にまぎれ込み、平和のメッセージを伝えられる人間を探す。知らない相手を脅威に感じたり、平和のために1つになれない世界が暗示されている。善意の宇宙人が地球人に追われ、シングル・マザーと幼い子供と知り合うというのは、スピルバーグの「E.T.」の原型とも言える。
 がっかりするかと思っていたけれど、今見ても十分見応えのある傑作だった。脚本もしっかりしているし、役者もいい。何より映像に力がある。のちに「ウェスト・サイド物語」や「サウンド・オブ・ミュージック」を監督することになるロバート・ワイズが監督している。そのワイズと、核戦争を描いた映画「ザ・デイ・アフター」のニコラス・メイヤー監督が対談している音声解説を聞くと(というか、字幕で読むと)、なにげないシーンに実は合成がたくさん使われていたことがわかる。ちょっと見には気づかないほどうまく使われているのだ。SFだからとばかにせず、スタッフが一流の仕事をしていたことがわかる。
 宇宙人に扮しているマイケル・レニーは当時、まったく無名だったイギリス人俳優。彼とヒロイン役のパトリシア・ニール、そして科学者役のサム・ジャッフェの奥行きのある表情がすばらしい。光と影を上手に使ったモノクロの映像美が彼らの表情を際立たせている。


辰巳国際水泳場 05/5/4

 実は、私は水泳中毒である。週に2、3回はプールに行かないとなんだか調子が悪い。1週間以上行かないと禁断症状になる。
 昨年の秋まで、私は東京の江東区にある辰巳国際水泳場に通っていた。ここはオリンピックの代表選考会など、大きな大会が催される立派なプールである。水深2メートルの50メートル・プールが1つ、水深1・4メートルで50メートルのサブ・プールが1つ、ダイビング・プールが1つ。観客席の反対側にある大きな窓からは(大会のときは幕が閉まっているので、テレビではわからないが)、広々とした空が広がり、流れのゆるい大きな川が湖のように窓側を包んでいるのが見える。すぐそばには京葉線の高架橋があるが、電車からは建物の天井のあたりが見える程度。ふだんはのぞかれることもない。
 このあたりは埋立地なので、企業の建物がぽつんぽつんとある程度。緑も多く、広々としている。地下鉄有楽町線・辰巳駅から歩いていくと(10分以上歩くが、これが一番楽なコース)、途中に桜並木があって、春はとてもすばらしい。私は行きは辰巳駅から、帰りは新木場駅から帰ることが多かったが、新木場駅への道からは川の水門が見えたりして、こちらはまったく違う風景だ。辰巳駅のそばには団地しかないが、新木場駅のそばには飲食店がいくつもあるので、食事をしたりコーヒーを飲んだりできる。水泳場にもレストランはあるけれど、大会があるとき以外はいつもガラガラ。眺めはいいんだけど、値段が高い。
 辰巳国際水泳場は大会のないときは一般に公開されている(ネットで公開日を確認できる)。しかし、さすがにお客さんはうまくて速い人が多い。だからこっちもついつい、無理をしてガンガン泳いでいた。しかも、ここは時間制でなく、1回いくら、入ったらいつ出てもいい。だから、ガンガン長時間泳いでいたら、いつのまにか慢性的に全身疲労の状態になり、それでも気づかずに泳いでいたら、昨年秋にダウンしてしまったのだ。水泳中毒の私が3週間近く泳ぐのを控え、そして、辰巳でガンガン泳ぐのもやめてしまった。今はゆっくり泳ぐ人の多い公営プールに通っている。
 それでも、水深2メートルで水温が28度に設定されている辰巳のメイン・プールはからだが恋しがるほど魅力的だ。普通の公営プールは水温が30度。明らかに28度の方がスピードが出る。水深も2メートルの方が泳ぎやすい。水が適度に硬くて、2メートルの水がしっかり自分を支えているという感じがする。ここには水着で入るジャグジーもあって、これもいいのだ。ダイビング・プールではシンクロの練習をしていることもある。たまには辰巳に行ってみようか。


なんだかなあ。 05/5/1

 アイスホッケーの世界選手権がオーストリアで始まったのだが、去年はあれほど入れ込んだのに、今年はあまり興味なし。AHLのプレーオフの方が気にかかる。
 去年はセイバーズの選手が何人も出ていて、しかも同じグループでの対戦がいくつもあったのだ。ドゥルーリー対シャターン、ドゥルーリー対ノロネン、といった具合に。でも、今年はそういう興味があまりない。
 今年は有料で、インターネットで試合が見られるのだという。そのかわり、去年まであったライブスコアがない! スコア自体が試合が終わった今も出ていない! これって、要するに、金払ってネットで試合見るしかないってこと? そうじゃない人の楽しみ方はないの?
 トロントのラジオ、Fan590ではカナダの試合をネットで放送したそうだ。こっちはタダ。こういうの、ほかの国のももっとやってくれ。

 例の、第4OTまで行って、ハシェックが70セーブしたという試合、アデルフィア・ケーブルテレビは第3ピリオドから放送したそうである。まあねえ、4時間もずっと、0対0の試合を見てるわけにはいかないものねえ。ただ、何も知らない人は、テレビをつけたら第3ピリオドなんで、びっくりしたそうだ。アデルフィアが放送する予定の試合はすべてプレーオフなので、OTに次ぐOTなのだが、どうするのだろう。
 私としては、「スラップ・ショット2」に出てくる、80年代初めにセイバーズが1ピリに9点も取ったという試合を見たいものだ。やっぱり、点がたくさん入る試合がいいな。

 「スラップ・ショット2」は、一般には失敗作とされているけれど、面白いところはある。ハンソン兄弟のいるチーフスがホッケーをプロレスのような見世物にするリーグに売られ、そこでヒールの役をやらされる。で、相手チームがなんと、現在の世界選手権などでチームUSAが着ているジャージとよく似たジャージを着ているのだ。そして、ヒール役のチーフスは、デトロイト・レッドウィングスのような真っ赤なジャージを着る。でも、これ、どう見たって、ソ連なのだ。要するに、チームUSAがソ連をやっつける八百長試合。そういう試合を見世物にして金儲けするアメリカの商業主義を皮肉った映画。なるほど、こういう皮肉と風刺で来たか、と感心はする。自国の悪いところを風刺したり、皮肉ったり、というのはアメリカ映画のいいところだ。でも、これはちょっとやりすぎ。もうちょっとうまくやれなかったかなあ。それに、9・11以後にアメリカの風刺はむずかしくなっている。そういう点でも、ちょっと気の毒な映画だ。

 テッド・ノーランが97年オフにセイバーズを去って以来、8年ぶりにヘッドコーチになるというニュースが伝わったが、実はノーラン、03/04シーズンにフィンランドのブルーズというチームでヘッドコーチをしていたことがわかった。もっとも、このチーム、年俸総額が高かったわりには最下位に低迷。ノーランは途中降板になってしまったらしい。ノーランは檄を飛ばして選手を鼓舞するタイプなので、フィンランドでは無理だろ、というのがセイバーズ・ファンの意見。でもって、今度行くケベックのメジャー・ジュニアのチームは選手がほとんどケベック出身、つまりフランス系なので、今度も無理だべ、と言われている(?)。