「ロバと王女」 05/7/30
シャターンの噂 05/7/27
試写をハシゴ 05/7/26
テレビの映画化 05/7/24
ドラフトくじの運不運 05/7/23
思い出の映画館 05/7/21
歌舞伎町へ映画を見に行く 05/7/20
無責任な噂話のことなど 05/7/18
ルーキー・ベスト10 05/7/17
思いがけない拾いもの 05/7/16
スポーツの話題あれこれ 05/7/15
決まりました。 05/7/14
「王の帰還」長尺版 05/7/13
「母が教えた歌」 05/7/12
89/90シーズンのゴーリー 05/7/10
レミとの再会 05/7/9
LAタイムズは正しかった? 05/7/9
話題あれこれ 05/7/8
ホッケーするチンパンジーとマダガスカルのペンギン 05/7/8
ちょっといい恋愛映画 05/7/6
ダニエル・ブリエア 05/7/5
デレク・プラント 05/7/3
NHL情報とJR舌禍事件 05/7/2
「バットマンビギンズ」 05/7/1
「ロバと王女」 05/7/30
1970年製作、71年日本公開の映画「ロバと王女」がデジタル・リマスターされて、秋に公開されることになった。私は初公開のときに映画館で見ているので、34年ぶりの再会。これまでビデオにもDVDにもなっていないそうで、確かに初公開のあと、目にした記憶がない。
シャルル・ペローの童話を「シェルブールの雨傘」のジャック・ドゥミが映画化したもので、公開当時はどうしても「シェルブールの雨傘」の印象が強かったから、物足りなかった。ミシェル・ルグランの音楽は美しいが、「シェルブール」のような耳に残る名曲は生まれなかった。
しかし、34年たった今、あらためて見ると、とても楽しい。やもめの王様が死んだ妻にそっくりの実の娘に求婚、王女はロバの皮をかぶってお城から逃げ出し、下女に身をやつして働いているところへ王子様がやってくる。王女にカトリーヌ・ドヌーヴ、王様にジャン・マレー、王子様がジャック・ペラン、王子の母親がミシュリーヌ・プレール、妖精がデルフィーヌ・セーリグという豪華キャスト。現代の機械がさりげなく画面に出てきたり、未来の詩としてアポリネールやコクトーの詩が出てきたり、そして、青と白と赤のトリコロールの色彩を強調した映像が美しい。ドヌーヴの着るドレスも目を見張る。衣装とか美術とか、細部がとても凝っていて、DVDが出たらじっくり何度も見てしまいそうだ。
最近はファンタジー映画があふれかえっているけれど、こういう気の利いたセンスのある洗練された大人の寓話はなかなかない。美しさがすべて、みたいな内容も、大人の目で見るから美しい芸術品を鑑賞するように見られるというもの。主役の5人の美男美女は、フランス映画がこの上なく優雅で美しかった時代を代表するスターたち。そういう時代のフランス映画の最後の作品の1つであるかもしれないと、今になって思う。
シャターンの噂 05/7/27
いちいち噂に反応しないようにしようとしていたのだけど、TSNに出てしまったので、一応、書いておこう。
7月26日、The Buffalo Newsに、「シャターンはセイバーズを離れる可能性が高い」というニュースが出た。理由は、年俸が400万ドルくらい(キャップの上限3900万ドルの1割以上)になること、彼が契約更新のたびによくホールドアウトをしていること、すでに選手としてのピークがすぎたこと、HCのリンディ・ラフとの間があまりうまくいっていないこと、など。
このニュースが出たあと、すぐに、GMがラジオでコメントをした。それによると、セイバーズではまだシャターンをどうするかは決めていないとのことである。
セイバーズのフロントは25日にチームとしての記者会見をしていて、これはAP通信から配信されたので、TSNにもYAHOOにも出ている。これによると、どの選手に再契約のオファーを出すかどうか、フロントはぎりぎりまで考えたいと思っているらしい(セイバーズはUFA選手はジトニクとパトリックだけで、RFA選手が多数いる)。
セイバーズはUFAのジトニクとできれば再契約したいと思っている。シャターンについてはあいまいな発言をしているが、ファンの間では、あと1年はシャターンをキープするのでは、という予想があった(来年のオフには彼はUFAになる)。
上記The Buffalo Newsでは、シャターンは「自分はただ待つだけ」と言い、この件についてはノー・コメントを通している。また、彼はエージェントに頼らず、自分で契約交渉をしてきたのだが、新たな労使協約について知る必要もあるので、エージェントを雇うかもしれないそうだ。
シャターンについてはトレードの噂は絶えず、04年3月にはあの有名な、試合中の携帯電話事件が起こった。あれはフロントに対するメッセージだとか、いや、うるさいマスコミに対するジョークだとか、いろいろな説がある。試合中にトレードの電話がかかってくることなどあり得ないのだが、エージェントではなくシャターンが直接、電話を受けるという背景があってのジョークということなのだろう。
このところ、セイバーズにはよいニュースがない。アフィノゲノフは来季はロシアでプレーする可能性がとりざたされている。フロントは年俸総額をできるだけ押さえたいと思っているので(2800万ドル前後)、UFAでいい選手を取れるかどうかもわからない。3年連続プレーオフに出られなかった屈辱が多少とも有利に働くかと思ったドラフトも、可もなく不可もない13位。不運だと嘆くほどでもないが、なんともフラストレーションがたまる状態なのだ。
これはBuffalo Sabresで登録する50番目の記事である。できればよいニュースにしたかったが、こういう話になったのは残念だ。なお、バッファロー地域でのテレビ中継はきちんとされることがわかった。
試写をハシゴ 05/7/26
日本映画「誰がために」とフランス映画「真夜中のピアニスト」の試写をハシゴしてきました。結末が非常によく似ているのでビックリ。以下、ネタバレ大ありにつき、差し支えない人のみ。
日本映画「誰がために」。浅野忠信扮する写真館の主人が、結婚したばかりの妊娠中の妻を殺される。少年による通り魔的殺人だったが、未成年なので、事件の全容もわからず、主人公の怒りはおさまらない。やがて、近くの町に住む少年が犯人だとわかった彼は、ナイフを手に少年のもとを訪れる。
フランス映画「真夜中のピアニスト」。70年代のアメリカ映画「マッド・フィンガーズ」のリメイクだそうだが、私は見ていない。かつてはピアニストをめざした青年が、今は裏社会のヤバイ仕事をしているが、もう一度ピアニストをめざそうと、中国人女性ピアニストに師事する。彼女はフランス語が話せず、身振りと片言の英語だけのコミュニケーション。その一方で、青年はヤバイ仕事も続けている。そんな中、同業者の父親が殺される。そして2年後、女性ピアニストのコンサートで父親を殺した犯人と出会った彼は……。
どちらも復讐の物語であり、クライマックスで主人公は殺人犯を殺そうとする。どちらも、あと少しで殺してしまう、というところで、思いとどまる。そのあとのラストシーンが対照的だ。「誰がために」の主人公は、親しい人々が集まっている店を離れたところから眺めている。「真夜中のピアニスト」の青年は、客席で女性ピアニストの演奏に耳を傾ける。
「真夜中のピアニスト」のジャック・オディアール監督は、このラストは青年の成長をあらわすものだと言う。復讐を思いとどまったのは、復讐が何も解決しないとわかったからであり、人間はそう簡単に人を殺せるものではない、と監督は言う(プレスシートより)。
「誰がために」のラストは、果たしてどうなのだろうか。確かに主人公は復讐は何の解決にもならないと感じたからやめたので、それは「真夜中のピアニスト」と同じだと思う。だが、親しい人々の集う店を遠くから眺める彼には、一線を超えようとしてしまった者の疎外感が感じられる。日向寺太郎監督はオディアール監督ほど楽観的ではない。
「誰がために」は妻を殺された夫、犯罪の被害者の家族の複雑な心理を、決めつけをせずに描いている。「真夜中のピアニスト」はむしろ、青年の成長の物語であり、父の死と復讐は最後に付け加わったものにすぎない。そうしたテーマ的な違いが結末のニュアンスの違いとなっている。
ただ、「真夜中のピアニスト」が主人公に密着し、すべてが主人公の目を通して描かれているのに対し、「誰がために」はすべてに対して距離を置いているような感じがする。どの人物もどこか遠くから眺められていて、特に犯人の少年は記号として置かれているにすぎないのが不満だ。全体に、外国映画に比べて、日本映画は対照とカメラの間に距離があり、空気が希薄で透き間風が吹いているように感じるものが多いような気がするのだが、そう思うのは私だけ? この映画では風が重要なモチーフになっているのではあるけれど。同じアジアでも、韓国映画は対照に対するアプローチが実に濃いのである。
テレビの映画化 05/7/24
テレビドラマとアニメの映画化を2本見ました。
ニコール・キッドマン主演の「奥さまは魔女」は、私の世代にはとてもなつかしいアメリカの連ドラの映画化。ただし、映画では、「奥さまは魔女」の新シリーズでサマンサを演じる女優(キッドマン)が実は魔女、という設定。彼女とダーリン役の俳優とのラブ・コメディだが、途中、ちょっと、眠くなってしまった。
テレビアニメの映画化は「鋼の錬金術師」。今、深夜で再放送しているのをちらっと見たけれど、映画はこのテレビ・シリーズの最終回のあとの話。それを、テレビをまるで見ていない私が見たのだから、最初はなにがなんだかさっぱりわからなかった。途中でだんだんわかってはきたけれど、こういうアニメはテレビで夢中になったファンを対象にしているので、そうでない人にはつらい。また、アメリカのアニメやジブリのアニメのような、金と手間をかけたアニメに比べ、あまり手がかかってないのもつらい。でも、ここに描かれているようなテーマが若い人たちに受けているのなら、今の時代も捨てたもんじゃないと思う。
ドラフトくじの運不運 05/7/23
NHLドラフトくじの結果が発表になり、1位の当たりくじはピッツバーグ・ペンギンズ。注目のシドニー・クロスビーはこれでペンギンズへ行くことが決まった。
ところで、今回のドラフトの順位。04/05シーズンがなかったので、くじで決められたのだが、過去3年間にプレーオフに出場してしていなくて、なおかつ過去4年間にドラフト1位くじを引いていない(例年、最下位の数チームでくじ引きをして1位が決まる)チームがプレーオフ常連組の3倍の確率となっていた。その3倍の確率を与えられていたのが、バッファロー・セイバーズ、コロンバス・ブルージャケッツ、ニューヨーク・レンジャーズ、ピッツバーグ・ペンギンズ。
ところで、ブルージャケッツとペンギンズは過去3年間にドラフト1位指名をしているのである。なのに、最高の確率なのはなぜか。それは、どちらも、当たりくじを引き当てたフロリダ・パンサーズがトレードしてしまったものなのだ!
で、そのパンサーズはこのところずっと下位に低迷しているのに、今回のドラフトくじではなんと、下から2番目の29位。一番不運なチームになってしまった(ちなみに30位は、03/04シーズンの優勝チームタンパベイ・ライトニング)。
当たりくじを2回も売り渡してしまうから(ていうか、当たる前に売り渡していた?)、運に見放されたということだろうか。
ちなみに、最高確率チームの内、ブルージャケッツは6位、セイバーズは13位、レンジャーズは16位だった。あちらのメディアでは、クロスビーはレンジャーズやリーフスへ行った方がNHLの経済効果が上がる、などという言い方がされていて、ファンの反感を買っていた。それからすると、一番同情される状況だったペンギンズへ行くのは一番恨まれない形かもしれない。
ペンギンズに次ぐ幸運なチームは、プレーオフの常連組なのに10位以内を引き当てたオタワ・セネターズ、ヴァンクーヴァー・カナックス。常連とまではいかないが、ハブスの5位もけっこう幸運だと思う。
セイバーズの13位は昨年と同じで、もしもシーズンがあればこのくらいだろうから、幸運でも不運でもないけれど、同じく経済状況が悪く(収入だけ比べるとペンギンズより悪い)、しかもアデルフィアの撤退で地元のテレビ中継もどうなるかわからない状況なので、できれば1位を取りたかっただろう。
セイバーズのテレビ中継は今後、MSGが行なうらしいけれど、あそこはレンジャーズの局なので、セイバーズの試合は一部しか放送されないのではないかという危惧が広まっている。
また、90年代はじめまではカナダ・オンタリオ州南部でも放送があったのに、アデルフィア・ケーブルテレビが来てからは地上派放送ができなくなり、オンタリオ州南部でセイバーズの試合中継が見られなくなったのだという。オンタリオ州南部はセイバーズの重要なマーケットなので、なんとかテレビ中継をできないかとフロントも考えてはいるようだが。MSGについては、ニューヨーク州西部ではレンジャーズの試合を放送せずにセイバーズを中継するのでは、という予想もある。
追記
ドラフトはトップ・プロスペクトと言われる選手は7、8人なので、10位前後から下はどこでも同じ、という意見があった。しかも今年は30位は2巡目は31位、29位は32位となるので、10位前後から下は運不運は言えないかもしれない。
思い出の映画館 05/7/21
昨夜、新宿には昔ながらの大きな映画館が残っているということを書いたばかりだが、新宿3丁目が再開発されてシネコンができるというニュースが伝わってきた。新宿ピカデリーの場所ではなさそうだけど、どうなる新宿? 次は歌舞伎町なのだろうか。
というわけで、今回はもうなくなってしまった思い出の映画館の話。とはいっても、全部をあげるわけにもいかないので、これらはその一部です。
有楽座(初代)
最近、この名前に変更になった映画館のことではありません。日比谷シャンテのビルの場所にかつてあった大きな映画館。初めて見たのはデイヴィッド・リーン監督の「ライアンの娘」。コッポラの「地獄の黙示録」もここで見た。隣りにあった日比谷映画(初代)がアクション映画メインで、この有楽座は風格のある娯楽作という路線だったと思う。当時は銀座・日比谷地区の映画館はそれぞれ上映作品のカラーが決まっていた。最近なくなったみゆき座(初代)は女性映画や芸術映画が多かった。(みゆき座は現在は日比谷スカラ座の隣りの映画館の名前になっている。日比谷映画の名は千代田劇場が受け継いだが、これもなくなってしまった。)
有楽座と日比谷映画が取り壊しになる前、古い名作映画の連続上映があって、何度も通った。有楽座は映画館自体がなにか風格を感じさせるものがあった。あのそそり立つスクリーンがなつかしい。
テアトル東京
ここで上映された有名な映画といえば、なんといっても「2001年宇宙の旅」。シネラマの大きなスクリーンがすばらしかった。当時ではめずらしい全席指定入れ替え制だったので、ちょっと敷居が高かったが、途中から自由席制に変わった。マイケル・チミノの「天国の門」を最後に閉館。地下にはテアトル銀座というやや小さめの映画館があったが、「風と共に去りぬ」を初めて見たのはここだった。今はテアトル・シネマなどが入ったビルになっている。
日比谷スカラ座
今ある日比谷スカラ座のビルの場所に以前あった同じ名前の映画館。というわけで、これは別の映画館が名前だけ継いだのとは違うので、初代の但し書きはつけません。ここでもずいぶんいろいろな映画を見た。大きな映画館だったけれど、有楽座や日比谷映画、テアトル東京といった一戸建と違って、ビルの上の方にあった。有楽座よりもライトな感じで、日比谷地区では一番好きな映画館だったような気がする。今のスカラ座はビルの地下。ブルーな雰囲気で、だいぶ印象が変わった。
丸の内ピカデリー
有楽町マリオンの建っている場所には、かつて、日劇のビルと丸の内ピカデリーのビルがあった。丸の内ピカデリーは朝日新聞社(現在は築地)に隣接していた。1階でチケットを買って中に入るとエスカレーターがあり、それに乗って客席のある2階へ行く、というのが当時はおしゃれだったらしい。ここを代表する映画は初公開で1年以上のロングランをした「ウェスト・サイド物語」。私はリバイバルをここで見た。キューブリックの「バリー・リンドン」を見たのもここ。
1970年頃にはヴィスコンティやフェリーニといった、今ならミニシアターでしか公開されないような映画がこういう大劇場でロードショーされていた。たしか、ヴィスコンティの「ベニスに死す」をここでロードショーして大コケ、その影響でか、「ルートヴィッヒ/神々の黄昏」が公開見送りになってしまった。岩波ホールで公開されたのはそれから10年ぐらいたってからのことである。
新宿武蔵野館
今も新宿の駅前のビルにあるけれど、かつては同じビルの中に600席くらいの大きな映画館があた。ここで初めて見た映画は「ローマの休日」のリバイバル。一番の思い出はアニメの「指輪物語」を見に行って、最後に「つづく」と出たとき。客席からいっせいに「エーッ」の声があがった。誰もこれが二部構成の前編だとは知らなかったのだ(原作の第二部の途中で終わっている)。しかも、後編は永遠に作られなかったのである!
初めて行ったとき、ここはまだ真新しい映画館だった。なんでも、以前、この場所に新宿武蔵野館という有名な映画館があったが、火事で消失したとかいう話をそのときに聞いた。新宿武蔵野館という名前には非常に長い歴史があるらしい。うろ覚えなので、今度、よく調べます。
池袋文芸座
今もビルの中にあるが、以前、同じ場所にあった一戸建の大きな映画館。言うまでもなく名画座の聖地。土曜日のオールナイトにも行ったことがある。名画座はなくなってしまった映画館がたくさんあるので、その話はいずれまた。
京成ローザ
千葉市とその周辺に住んでいた数年間によく通った映画館。京成千葉駅(現在の千葉中央駅)に隣接していた。70ミリも上映できる大きな映画館で、同じ建物内(敷地内?)にあったもう1つの洋画封切館と松竹の映画館にもよく行った。入場料が東京のロードショー館より安く、しかも新作2本立て。ここの3館と千葉劇場にはほんとにお世話になった。現在は京成ローザの場所にシネコンができているようだ。千葉劇場はまだあるらしいけど、昔と同じ建物なのだろうか。
松竹セントラルと東劇
現在の東劇はビルの3階だが、かつてはその場所に一戸建の大きな映画館、東劇(東京劇場)があったのだ。東銀座という不便な場所なので、行った回数は決して多くなかったが、ボックス席があったりして、オペラ劇場のような感じだったと記憶している。わりと早くに今のビルに建て替られてしまった。
その向かいにあったのが松竹セントラル。ここは比較的あとまで残っていたが、いつ行ってもガラガラだったなあと思う。「バットマン」(ティム・バートンの第1作)なんて、お客さんの数を思わず勘定してしまった。「マジェスティック」に出てくる映画館のようなチケットボックスがあったが、使われていなかった。映画雑誌に文章を書くようになってからは、裏にあった松竹の試写室によく通った。今は試写室は東劇の隣りにある。
渋谷・東急文化会館
東急文化会館は映画ファンになる前から思い出がたくさんある。一番の思い出は五島プラネタリウムだ。屋上でアーチェリーをしたこともある。ここにあった映画館、渋谷パンテオン、渋谷東急、東急名画座、東急レックスは中学高校生頃の思い出とつながっている。当時の渋谷は大人の町だった。その後、渋谷はしだいに行きづらい町になっていった。
歌舞伎町へ映画を見に行く 05/7/20
久しぶりに歌舞伎町へ映画を見に行った。このあたりには昔ながらの大きな映画館がまだ2軒残っている。1つはコマ劇場隣りの新宿プラザ。もう1つは広場を挟んで向かい側の新宿ミラノ座。どちらも1階のチケット売り場でチケットを買って入り口を入るとすぐ観客席。今では映画館はビルの上の方か地下が多いが、昔はこういう一戸建の大きな映画館がたくさんあった。歌舞伎町ではないが、同じく新宿にある新宿ピカデリーもその手の古い大劇場である。このあたりは再開発されていないからだろう。銀座・日比谷地区と渋谷はまったく様変わりしてしまった。
歌舞伎町へ行ったのは、「スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐」をどうしても新宿プラザで見たかったからだ。ここは「スター・ウォーズ」シリーズを最初から全部上映しているという希少価値な劇場。ちなみに、私がこれまで見てきた劇場は次のとおり。
「スター・ウォーズ」1978年、大宮ハタプラザ
「帝国の逆襲」1980年、テアトル東京
「ジェダイの復讐」1983年、新宿プラザ
「エピソード1 ファントム・メナス」1999年、日劇
「エピソード2 クローンの攻撃」2002年、日劇
「エピソード3 シスの復讐」2005年、新宿プラザ
このうち、テアトル東京はもう存在していない。また、現在の日劇は1984年からなので、最初の3部作のときは存在していなかった。大宮ハタプラザは今、「シスの復讐」を上映しているけど、昔と変わっていないのだろうか。ここも全作品、上映してるのではないかと思う。
新宿プラザにはさすがにオタクが集まるらしく、まわりのお客さんは見るからにオタクっぽい人ばかりだった。多分、私もその1人に見えたことだろう。上映が終わると、客席から拍手が起こった。試写会でも特別上映でもないのに、こんなことは珍しい。
そのあと、今度は新宿ミラノ座で行なわれた「シン・シティ」の試写会に行った。アメリカの劇画の映画化で、劇画をそのまま実写にしたような映像が面白い。ミッキー・ローク、クライヴ・オーウェン、ブルース・ウィリスがそれぞれ主演する3つのエピソードからなっている。話の方はかなりエグイ。「キル・ビル」をぐっと渋くした感じか。ロークとオーウェンがなかなかよかった。
無責任な噂話のことなど 05/7/18
NHL労使協約締結正式発表は7月21日とか言われているわけだが、すでにオフの動きの噂が北米掲示板にはいろいろ出ている。ここは別にスポーツメディアでも何でもないし、単に私が好きなこと書いてるだけなので、こういう無責任な噂話も悪くないだろう。でも、あくまで無責任な噂話なので、本気にしないように。
元カナックスGMブライアン・バークをGMにしたマイティ・ダックスだが、ナズルンドがUFAで来るという噂がある。ナズルンドといえば、カナックスのキャプテンだから、ファンは泣くぞ。おまけにもしも、あくまでもしもだが、ナズルンドの子供時代からの親友で、NHLでも一緒にやりたいとか言ってたフォシュベリが一緒にダックスに行ったりした日には……ダックス的にはカリヤとセラニのリベンジになるのだが、まさかね、これだけはないでしょうね。あったら、カナックス・ファン、ますます泣くぞ(バーツージのこともあるし)。
やっぱり、キャプテンとかフランチャイズ・プレーヤーとかいう人達は、そうそう軽々しく動いてほしくないというか、こういう人がしっかりキープされてれば、あとは自由に動いていいと思うんだが。弱小チームの場合、これまではこういう人さえキープできなかったのだよ。
いわゆるビッグ・チームでは、フライヤーズが実に賢くやってきたので、サラリーキャップが適用されても全然困らないらしい。なんたって、若手の育成もきちんとやってきたので、二軍は優勝だあ! それにひきかえ、最悪なのはリーフス。アバランチとスターズもやばそ。レッドウィングスはファイヤーセールは時間の問題と見なされていたので、それほどでもないとか。しかし、そのレッドウィングスがハビブーリンをUFAで取るという噂があるのだが。それに伴い、クージョの行く先が話題になっている。
レンジャーズはすでにファイヤーセールをしてるけど、ヤーガーはやはり問題の様子。で、最悪なのは、ヤシンと長期高額年俸契約しているアイルズ。もともと貧乏なので、ヤシンをバイアウトする金がない。年俸高すぎてトレードもできない。じゃあ、ペカを手放すか。なら、格安でセイバーズに戻ってきてくれ、とセイバーズ・ファン。すると、じゃあ、ドゥルーリーをコロラドに返してくれ、とアバランチ・ファン。ファンの勝手な繰り言なので、本気にしないように。アイルズの例を見ると、金持ちチームはバイアウトする金があるだけ幸せだと思う。
ルーキー・ベスト10 05/7/17
NHL公式サイトの90年代ベスト10映像シリーズ。今回は90年代のルーキー特集であった。
わりと古い時代というか、90年代前半が多いようで、ジェッツ時代のセラニとか(ドミがチームメイトで登場!)、ノルディクス時代のフォシュベリとか、ルーキーは出て来ないが相手チームとしてちょこっと出てくるセイバーズのジャージがブルー・アンド・ゴールドだったりする。
個人的に注目したのは、ベスト10には入らなかったものの、番外として登場したドゥルーリー(アバランチ)の新人賞受賞シーン。なんか、あんまりスポーツ選手っぽくない。
今回はインタビューのほかに受賞式シーンもいくつか入っていて、ヴェジナと新人賞を同時受賞したベルフォア(ブラックホークス)が神妙な面持ちで出てくる。「信じられない」としおらしくコメントしてるけど、それでもほかのルーキーよりは顔がでかそうだな。
ゴーリーではブロデュアも登場。実は、セイバーズがプレーオフで第4OTまで行ってハシェックが70セーブしたという伝説の試合、相手ゴーリーも同じくらい止めただろうに、一体、誰なのだろうと思って調べてみたら、新人のブロデュアだったのだ。デビルズの黄金時代はここから始まった?
というわけで、リンク。
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思いがけない拾いもの 05/7/16
あまり期待しないで見に行ったら、とても面白かった、という映画にめぐりあうと、すごくラッキーな気分になる。今日は最近見たそういう映画を2本。
「サマータイムマシン・ブルース」
ヨーロッパ企画という劇団の劇の映画化だそうだけど、めっぽう面白かった。夏休み、大学のSF研の部室に突如、現れたタイムマシン。それに乗って、クーラーのリモコンをめぐる物語が始まる。
田舎の大学とその周辺、移動する時間は主に昨日と今日、という、タイムトラベルものとしてはささやかな時間と空間だけれど、脚本が非常によくできていて、知的なゲームのような楽しさがある。もちろん、深く考えなくても笑って楽しめます。
「ハービー」
40年近く前のディズニー映画「ラブ・バッグ」シリーズの続編。スクラップ寸前だったフォルクスワーゲン・ビートルがレーサーの素質を持つ若い女性と出会い、ナスカーに挑戦、というファンタスティック・コメディ。アメリカのレースはF1と違って、改造車によるレースという印象を持っていたが、これがまさにそれ。ストリート・レースに始まり、モンスタートラック、そしてナスカーという物語の流れがスピーディで楽しい。ナスカー・チャンピオン役のマット・ディロンははまり役だが、マイケル・キートンのヒロインの父親役にはさすがに年を感じた。
スポーツの話題あれこれ 05/7/15
NHLの新労使協約はオーナーと選手がそれぞれ投票してから正式発表になるので、まだ数日かかるようだ。ルール変更の方も、いろいろ言われているけど、否定する意見もあって、まだよくわからん。センターラインをなくすのとシュートアウトの導入は確定的らしいのだけど、OTを4対4で5分やったあと、3対3で3分、それでもだめならシュートアウト(SO)、という話も出ている。
AHLは今季、4対4のOTのあと、SOをしていた。それで、勝ち2ポイント、OT負けとSO負けは1ポイントだったのだ。ところが、NHLは来季から引き分けはなし、OT負けもSO負けもポイントなしで、という話があって、これだとポイント制にする意味がないじゃないか、という意見がファンから出ている。確かに、勝ち1点、負けはどんな負けでも0点だと、MLBみたいに何勝何敗で勝率で表わせばいいわけ。
そこでふと、思ったのだが、日本のプロ野球は引き分けがあるけど勝率なのだね。Jリーグみたいにポイントではないのだ。
横浜ベイスターズ4連勝で借金返済、とりあえず、単独3位浮上したので、今夜は気分がいい(今夜だけだろうけど)。
NHLに戻って、金持ちチームや大盤振る舞いチームはバイアウトや何やらで大変だろう、と思っていたら、よそがバイバイするスター選手を取る話が浮上しているのはもっぱら富豪・強豪チーム。セイバーズみたいにキャップ・スペースが十分あるチームにはそういう話は出てこない。スター選手は弱小チームに高い年俸で行くより、コンテンダーに安い年俸で行く、というような説まであるが、どうなるか、楽しみではある。
ドラフトは来週、順番のくじ引き、そして7月31日にオタワで開催となるらしい。
労使協約締結後の動きも楽しみだが、さしあたって、水泳好きの私が楽しみなのは、モントリオールの国際水泳である。
決まりました。 05/7/14
3時間くらい前から次々とニュースが入ってくるので、パソコンにしがみついてましたが、NHLと選手会の両方のサイトについに労使交渉合意のニュースが。
考えてみたら、他人事なのに、なんでこんなに熱心にウォッチングしてたのかわからん。詳細はまだだが、私が報告する必要もないと思う。
関連記事
Winners and Losers in the NHL agreement
バッファロー・セイバーズ公式サイトがリニューアル中。しかし、あまりのひどいデザイン、ほとんど工事中のページにあきれる。当初は「カレンダー」の綴りが間違っていたりと、一体、誰がつくってるんだ。特徴は、以前はチームカラーの赤、黒、グレーのデザインだったのに、スチールカラーになっていること。このブログに貼った公式サイトのページへのリンクも切れてしまっていることだろう。
「王の帰還」長尺版 05/7/13
「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」スペシャル・エクステンデッド・エディションをDVDで見た。アカデミー賞を受賞したスタンダード版よりずっといい。カットされたクリストファー・リーの出演シーンとラストのイラスト入りクレジットが見られるのもうれしいが、単に新しいシーンを加えるのではなく、全体を編集しなおしている。だから、スタンダード版ではひたすら退屈だったリヴ・タイラーのシーンは大幅カット。かわりにほかの人物のシーンがたくさん増えて、人物描写がだいぶよくなっていた。
特に、エオウィンとファラミアがお近づきになるシーンは、エクステンデッド・エディションでは必ず入ると思っていたものだ。なぜなら、スダンダード版のアラゴルンの戴冠式シーンで、エオウィンとファラミアが仲良く並んでいるカットがあるからで、この2人のなれそめのシーンがないと意味がわからない。
また、原作ではエオウィンはアラゴルンへの片思いから戦いに出かけるのに、映画ではアラゴルンへの思いはわりと簡単にふっきれてしまって、さばさばと戦いに出るみたいで、ここも不満だったのだが、長尺版を見たら、それもしかたないかな、という気がした。原作では、エオウィンがアラゴルンへの思いから解放され、ファラミアにひかれていく過程が時間をかけてじっくり描かれているのだけれど、映画ではじっくり時間をかけてとはいかないので、下手すると、エオウィンが浮気っぽく見えてしまうのだ。エオウィンのアラゴルンへのせつない恋はトールキンが唯一、女性にサービスしている部分なので、もったいないなあと思うけど、ピーター・ジャクソンではその辺、うまく描けたとも思えないし、ま、いいか。
このほか、ボロミアとファラミアの違いを示すシーンも入っていて、納得。明らかにスタンダード版より出来がいい。こちらがアカデミー賞受賞なら大いに納得だったのに。
エンドクレジットの最後に、この映画に寄付をした「指輪物語」ファンの人達の名前がアルファベット順に出てくる。膨大な数の名前の中に、知り合いを2人見つけた。探せばもっといるかもしれない。
「母が教えた歌」 05/7/12
「メゾン・ド・ヒミコ」という日本映画を見たら、ドヴォルザークの「母が教えた歌」が印象的に使われていた。
ドヴォルザークは、あの、交響曲「新世界から」が有名なボヘミア(現在のチェコ西部)の作曲家だが、私はこの「母が教えた歌」が一番好きである。
この曲、たしか、チェリストが男の子を預かってしまい、父性にめざめるチェコ映画「コーリャ/愛のプラハ」にも使われていたと思う(記憶違いでなければ)。この映画、アカデミー賞外国語映画賞を受賞したが、その前に東京映画祭でグランプリを受賞している。東京映画祭も捨てたものではない。
「母が教えた歌」は歌曲で、「メゾン・ド・ヒミコ」の中ではソプラノ歌手が日本語で歌っている。ゲイの老人ホームの話なので、ゲイの老人たちがみんなで合唱するシーンもある。老人たちの合唱は別にうまくはないのだけど、内容がしみじみするので、この歌のしみじみとぴったり合っている。
この曲は歌曲のほかに、ヴァイオリン曲としても有名。うちには初心者でも弾けるようなやさしいアレンジの楽譜があるが、楽譜どおりに弾いただけではまるでだめである。あのしみじみ感が、へたくそだと全然出ない。うまい人なら、安いヴァイオリンでもきっと美しく演奏するだろう。こういう曲は、楽器の値段がどうのとか、テクニックがどうのとかいった言い訳を一蹴してしまう。やさしい曲ほど、演奏する人の才能がばれてしまうのかもしれない。
「メゾン・ド・ヒミコ」はこの曲がぴったりのいい映画だ。オダギリジョーの人気で期待も高まっているらしい。「たそがれ清兵衛」に出演していた田中泯が粋なゲイを演じていて、驚いた。
89/90シーズンのゴーリー 05/7/10
毎週おなじみ、過去のNHL映像特集。今回はプレーオフではなく、89/90シーズンのゴーリー・ベスト10。
で、2位にセイバーズのダレン・プパが入ってました(以前、パッパと書いてしまったけど、プパと発音してた)。プパはヴェジナ受賞者のトム・バラッソが契約でもめたかなんかで結局、ペンギンズへトレードとあいなったあと、スターターになったはず。ハシェックがスターターになるまでは彼の時代と見ていいのかな?(フュアーとか、来てもあんまり役に立たなかった人はいましたが。)
1位はもちろん、若き日のパトリック・ロワであります。
セイバーズはほかのゴーリーのシーンにもちょこちょこと出てました。アンドレイチャクとモギルニーがいた時代です。というか、モギルニーは89年に北米に亡命して来たのだ。最初は英語がろくに話せなくて、ほとんど無言。生活習慣の違いや亡命という事情で、精神的苦労があったらしい。
このほか、ハブスの試合のシーンで、フランス語の実況のものがありました。これもちょっと珍しかった。
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レミとの再会 05/7/9
映画館で見逃していたアカデミー賞外国語映画賞受賞作「みなさん、さようなら。」をDVDで見た。監督のドゥニ・アルカンはカナダのフランス語圏ケベック州で映画を作り続けてきた人で、だから外国語映画賞なのだが、私がアルカンの映画を初めて見たのはかれこれ20年近く前だった。
それは今回の「みなさん、さようなら。」の登場人物たちが初めて登場した「アメリカ帝国の滅亡」。1986年か87年か、その頃に公開されたと思うが、私は当時、映画雑誌にこの映画の評論を書いている。
今でこそ、アイスホッケーに関心があるので、フランス系カナダ人の有名人をたくさん知っているが、私が初めてカナダのフランス語圏とその文化を知ったのがこの「アメリカ帝国の滅亡」であり、ドゥニ・アルカンの映画であった。アルカンの映画はこのあと、「モントリオールのジーザス」も公開されたが、どちらもヒットに至らず、以後、まったく公開されなくなってしまった。そのため、ケベック映画も私の目に入ることはなくなったけれど、カナダのフランス語圏のことは以来、ずっと、私の頭の片隅に存在していた(フランス語で書かれたカナダ文学がたまに翻訳されたりしているのを見ることもあった)。
「アメリカ帝国の滅亡」は、歴史学の大学教授レミが、湖畔の別荘で友人たちと語り合う話。知識人である彼らが興味があるのはもっぱらセックスのこと、という、皮肉と風刺に満ちた映画だったが、その中で私が強くひかれたのは、レミが研究者としても教師としても先が見えていて、それでセックスに享楽的な人生を見いだしているということ。
あれから20年近くがたって、文字通りスクリーンで「再会」したレミは、末期ガンで余命いくばくもない。かつての仲間たちも集まり、息子や若い人も加わって、レミの最後を看取る。日本では大ヒットしたこの映画は、おそらく、親子の触れ合いといったヒューマンな物語が感動を呼んだのだろう。しかし、私の目に映ったのは、研究でも教育でもたいしたことができず、本1冊書くこともなく、家庭も崩壊して、何も達成できずに死ぬレミの姿だ。私自身も20歳近く年を取って、仕事でもその他のことでも何も達成していないのを感じる。しかし、世の中の多くの人々はレミと同じで、何も達成せずに死ぬのだろう。レミの家にある有名な作家や哲学者の書物のようなものを残すこともなく……。
アルカン監督はインタビューの中で、「レミは歴史や書物を愛したが、それを楽しんだだけだった」と言っていた。この言葉にならえば、私も愛したものを楽しんだだけだった。だが、多くの人は何も達成できなくとも、楽しむことはできる。人生はそれでいいのだと、映画はそう、肯定しているのではないか。
この映画の原題は「蛮族の侵入」。「アメリカ帝国の滅亡」と重ねて考えると面白い。9・11の映像をあえて登場させ、アメリカという帝国(決して悪い意味とばかりは言えない)に象徴される先進国の姿をローマ帝国になぞらえている(いかにも歴史を学んだ監督の視点だ)。
映画の冒頭、カナダの病院では設備が足りないと、レミがわざわざ国境を越えてアメリカの病院へ検査に行くシーンがある。そこにあるのはアメリカの国旗。そして、レミが入院しているケベック州の病院にあるのは青いケベックの旗。ラスト、レミの息子が旅立つ空港のシーンで、息子が乗るのは最初に映ったエア・カナダの飛行機ではなく、スイス航空の飛行機。どれも意味深な記号である。アメリカに依存したカナダ、英語中心のカナダで独自の文化を守ろうとするケベック、そしてフランス系とドイツ系が共存する永世中立国スイス。この複雑さはアメリカ文化に依存する多くの国が抱えるものではないだろうか。
LAタイムズは正しかった? 05/7/9
TSNが発表したNHL労使交渉の詳細によると、昨日紹介した「LAタイムズ」の記事はある程度正しかったらしい。特に、「LAタイムズ」の記事では、1人の選手の年俸はサラリーキャップの上限の20パーセントを超えてはならない、というのが注目されていたのだけれど、これが実行されると、ヤーガーやヤシンなど、年俸24パーセント返還してもこの20パーセントを超える可能性があるらしい(ヤーガーは完璧超える)。
追記
「LAタイムズ」は先の記事の内容は正しいと信じているようで、新たにその記事を後追いする記事を載せている。
話題あれこれ 05/7/8
NHL労使交渉、いよいよ発表か、というところで、概要を予測する記事を2つ。
「sportsnet」では、サラリーキャップは上限4000万ドル未満、下限2200万ドル、選手は年俸の24パーセントを返還など、従来の報道と変わらないが、贅沢税ではなく、収入上位10チームが下位チームに収入を分配する案が濃厚としている。また、リーグ全体の収入の54パーセントを選手の年俸総額が超えた場合に備えて、エスクロー・アカウントとして年俸の一部をキープしておくことなどが書かれている。
実は上の記事の前、7月7日に、「LATimes」に労使交渉の細部が決まったという記事が載ったのだが、すぐにリーグと選手会の両方に否定されてしまった。ただ、上の報道と重なることも多く、贅沢税のかわりに収入が上位の10チームが下位チームに収入を分配という話はここで初めて出てきた(もっとも、贅沢税の話は6月上旬の「Globe & Mail」で出たあと、まったく聞かれていなかったのだが)。ここではサラリーキャップは上限3700万ドル、下限は2400万ドル。UFA年齢は来季は31歳、以後、28歳まで下げる。そして、冬季五輪には選手は参加、そのためオールスターゲームはなし、などとなっている。いずれにしろ、これは否定された記事です。
2012年の夏季五輪の開催が決まった直後に同時多発テロが起こったロンドンだが、そのオリンピック・ロンドン大会から野球とソフトボールがなくなることが決まったようである。
もともと、この2つは東アジアと北中米でしか盛んでないということで、廃止がささやかれていた。確かに野球場を造らないといけないというのが最大のネックだと思うが、なら、ニューヨークに決まってたら廃止にならなかった?
ホッケーするチンパンジーとマダガスカルのペンギン 05/7/8
動物が主役の映画を2本見ました。
まずは、レンタルのDVDで見た「天才チンパンジー ジャック アイスホッケーの友情」(原題「MVP」2000年カナダ)。このシリーズ、スノボー編もいくつかあります。
カリフォルニア出身のアメリカ人の少年がカナダのジュニア・ホッケー・チームに入団。しかし、選手は落ちこぼればかりでやる気なし。一方、やはりカリフォルニアの大学で研究用に飼われていた天才チンパンジー、ジャックが実験用に売られそうになり、バッグの中に隠れて列車ではるばるカナダへ。そこでホッケー・チームに入って大活躍。チームはプレーオフのファイナルへ、というお話。
ジャックがホッケー始めるまでが長いのが難ですが……。あと、ドマイナーなジュニア・リーグのファイナルをなんでヴァンクーヴァーのGMプレイスでやるのか、とか、カナダ映画なのになんで主役は人間も猿もカリフォルニアから来るのか、とか、突っ込みどころもいろいろ。まあ、突っ込むのも映画の楽しみの1つだし、トップシーンにグレツキーやロワやその他数人のNHL選手の写真があるのもお楽しみ?
もう1本は8月公開の動物アニメ「マダガスカル」。ニューヨークの動物園を逃げ出した動物たちがマダガスカルに流れ着き、というお話。予告編を見たときはペンギンがかわいいと思ったのだが、本編を見ると、ペンギンはあまり出て来ないのでがっかり。同じスタッフの前作が「シャークテイル」で、あっちは肉食をしないサメがサメ一族の中で仲間はずれになっていたが、「マダガスカル」では草食動物の中でただ1匹、肉食のライオンが肉が食べたくなって悩む。動物園では餌として肉を与えられていたので、仲間を食べる気にならなかったのだが、自然の世界では……という、ちょっと重いテーマが入っているのだ。ただ、このスタッフのアニメ、映像はすばらしいけど、日本の観客にはあまり向かないかも。次はあのペンギン4人組を主役にしてひとつ……。
ちょっといい恋愛映画 05/7/6
恋愛映画って言い方自体が古いかもしれないが(ラブストーリーというのか)、現在公開中と近日公開のちょっといい恋愛映画を。
「最後の恋のはじめ方」(公開中)
もてない男に恋の指南役をするウィル・スミスと、彼に指導されるもてない男の、2組のラブ・コメディ。で、注目はもてない男の方。パッとしないデブのビジネスマンが、セレブのキャリア・ウーマンに恋をしてしまい、へまをするのが逆にかわいいと思われて、2人はフォール・イン・ラブ。が、指南役がいるとわかり、だまされたと思った彼女は……というよくある展開だが、このカップルのセレブぶりがなんともいえない。なんたって、マディソン・スクエア・ガーデンの最前列でニックスの試合を見るのだ。そんなセレブな世界に不似合いなデブ男の飾らない誠実さが逆に魅力に感じるのがミソ。
「ダンシング・ハバナ」(7月9日より)
原題は「ダーティ・ダンシング2」だが、話はまったく別物。キューバ革命前夜、18歳のアメリカ人少女とキューバの貧しい青年が恋に落ち、ダンス大会の優勝をめざす。革命に至るキューバの社会背景や、革命に期待するキューバ人の心情もきちんと描かれた良心作です。「ダーティ・ダンシング」のパトリック・スウェイジがダンス教師役で出演しているが、年とっただけでなく、すっかりやせてしまった。
「理想の女」(秋公開)
オスカー・ワイルドの「ウィンダミア夫人の扇」を時代と主人公の国籍を変えて映画化。若妻(スカーレット・ヨハンソン)が夫と遊び人の熟女(ヘレン・ハント)の仲を疑うことから始まる人間喜劇。ネタバレになるので詳しいことは書けないが、後半はハントの演技がすばらしく、泣けます。彼女に比べるとヨハンソンはまだまだ、というか、世間知らずな若い女の役なのでそのままなのだが。クライマックスの2人の対話がすばらしい。ラストもとてもいい気分にさせてくれる。
ダニエル・ブリエア 05/7/5
この記事はBuffalo Sabresで登録する48番目の記事になるので、話題は当然、セイバーズの48番、ダニエル・ブリエア。03年3月にフェニックス・コヨーテズからトレードされてきたとき、彼は8番か14番をつけたかったが、14番はフレンチ・コネクション・ラインのルネ・ロベールなので永久欠番。8番はすでに使われていたので、4と8を組み合わせて48にした。
ブリエアは03/04シーズンでは大活躍。それまでチームのトップ・スコアラーだったシャターンを追い越してトップになっただけでなく、04年2月には月替わりのキャプテンに選ばれ、リーダーとしての資質もあることが実証された。
03/04シーズンの当初は、ファンの関心は優勝経験のあるクリス・ドゥルーリー(03年オフにカルガリー・フレームズからトレードされてきた)に集まっていたのに、いつのまにかブリエアが一番人気になってしまった。2月のキャプテン指名も、公式サイトでのファンの投票で「ブリエアをキャプテンに」の声が大きかったからだろう。
セイバーズのファンの間では、ブリエアのキャプテン待望論が強く、チームのフロントがキャプテン候補として獲得したドゥルーリーは「年俸高いのでイラネ」とさえ言われている。でも、しばらくはドゥルーリーがキャプテンの方がいい、という声も多い。
それで立場がなくなっているのがシャターン。セイバーズの古株であり、ここ数年間はほとんど唯一のスター選手だというのに、ファンの間では今ひとつ、フランチャイズ・プレーヤーと見なされていない。それというのも、母国スロバキアのナショナル・チームではキャプテンなのに、バッファローではどうも覇気がない。03/04シーズンには彼もキャプテンに指名されているのだが、役割を与えられないとリーダーになろうとしないようなところがあるらしいのだ。
ブリエアは04年春には世界選手権のカナダ代表としても活躍。04/05シーズンはスイス・リーグのベルンでプレーして、ここでも大人気。コヨーテズでも人気者だっただろうと思うけど、選手としてブレイクしたのはやはり、セイバーズに来てから。デュモン、ヘヒトとのラインの相性もよかったのだろう。小柄な選手だが、ファンの熱い期待は背中の48番に集まっている。
前にも書いたように、NHLの労使協約がいよいよ締結しそうということで、ファンの掲示板では来季のロースター論議が盛んになっている。で、「年俸の高いシャターンをバイアウトしろ」などという意見が出ていたのだが、「バイアウトに金使うより年俸払ってプレーしてもらった方がいい」、「バイアウトは金のあるチームがやるものだ。貧乏チームにはバイアウトする金なんかない」と一蹴されてしまった。そして、とどめのひとことは、「シャターンは契約の最終年には男になる」。
もっとも、労使協約の内容によっては、シャターンはUFAになるかもしれない。すでにUFAになっているジトニクはセイバーズを含む複数のチームからのオファーを考慮中のようだ(日本の某雑誌に「ジトニクはロックアウトをにらんでサインされず」とか書いてあったけど、いいかげんなこと書かないでほしいね)。
セイバーズは昨年オフに多くの選手と1年契約しかしておらず、今季の契約が来季に持ち越しにならなければ、多くの選手と再契約が必要になる。その際、多すぎるフォワードを整理し、手薄なディフェンスを補強することになるだろう。一部の選手を残して全とっかえも可能なのだが、昨季終盤のチーム状態が非常によかったことから、あまり変えずに補強することになるのではないかと思う。
最後に野球の話題。3Aのバッファロー・バイソンズの多田野投手がメジャーのクリーヴランド・インディアンズに昇格になった。バイソンズでは今季、3勝3敗。
デレク・プラント 05/7/3
私にとっては毎週のお楽しみになっているNHL公式サイトのプレーオフ映像特集。今回は97年プレーオフのオフェンス特集で、グレツキーとメシエのレンジャーズがメインだけれど、セイバーズも10位に登場。またまた出ました、煙を吐く山羊の頭。ではなくて、1回戦第7試合のデレク・プラントの2つのゴール。
この年のセイバーズのプレーオフはいわく因縁つきだというのは以前にも書いたが、本当ならサクサクッと勝てるはずなのに(?)お家騒動で大黒柱がいなくなり、7戦までもつれ込んで、1点ビハインのとき、第3ピリオドでデレク・プラントが同点ゴール。そして、OTでプラントが決勝ゴールという、プラント神の試合であった。
OTゴールの方は、以前、NHLサイトのプレーオフOTゴール映像特集では2位に選ばれていた。また、バッファロー地域では春にこの試合を放送したので、セイバーズ公式サイトにも映像がアップされた。デレク・プラント紹介の記事もこのサイトに出ている。
プラントはこのあと、ダラス・スターズにトレードされ、99年のセイバーズとスターズがファイナルで対戦したときにはスターズにいた。だが、彼はファイナルはヘルシー・スクラッチで出場せず。おかげでセイバーズ・ファンには嫌われずにすんだとか。その後、ヨーロッパに渡り、現在はドイツでプレーしているそうだ。
97年プレーオフ特集へのリンク。
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NHL情報とJR舌禍事件 05/7/2
労使交渉が最終段階に入ったというニュースがカナディアン・プレスから配信された。すでに話し合いをしながら協約の立案作りをしているとのこと。発表は7月11日という説があり、予定通りに行けば、8月上旬にドラフトが行われる。
このほか、さまざまなルール変更も予定されている。選手代表とGM代表が話し合う委員会が始動するようだ。(その後の情報あり。)
あちこちに流れている情報では、サラリーキャップは上限が3600万から3900万ドルの間、下限は2200万ドルくらいらしい。年俸の高い選手をたくさん抱えているチームは年俸の3分の2を支払って契約をチャラにするバイアウトをしなければならないし、この夏に契約が切れる選手が多数存在するため、交渉成立後はチームも選手もエージェントも契約やトレードやバイアウトで忙しくなる。UFA年齢は来季はこれまで通りという噂も。
ただし、数字など具体的なことはまだ噂の段階。6月に「Globe & Mail」というメディアがネット上に「チームごとのキャップ」などと書いてしまったので、「チームごとのキャップって何?」「チームによって金額が違うの?」と大騒ぎになったのだが、その後、ベットマンが「チームごとのキャップ」を否定したり、このメディアの情報自体が不正確で記述が混乱しているという指摘があったりして、騒ぎは収まった。しかし、その後もこのメディアの記事をそのまま写す別のメディアがあったりするから困る。
メディアがいいかげん、というのは今に始まったことではないけれど、6月末に起こったJR舌禍事件もその1つ。
マリオ・ルミュー主催のチャリティ・ゴルフに参加したJRことジェレミー・ローニックがインタビューの中で、「選手を強欲だとか甘やかされているだとか言うファンはくたばれ」とか、「そういうファンはNHLに戻ってこなくていい」と言ったのがESPNのテレビに流れ、JRが「インタビューの中のごく一部だけを放送したもので、自分の真意は違う」と抗議した。
「Philly.com」の記事によれば、JRは主に、いかにゲームをファンにとってアピールするものにするかを話したので、上の発言は、インタビュアーが「金のことしか考えない、強欲で甘やかされた選手たちがシーズンをキャンセルさせたとファンは信じていて、彼らは戻ってこないかもしれないことをどう思うか」ときいたので、あのように答えたのだという。ところが、テレビは質問はカットしてJRの発言だけを放送。ワイドショーなんかにはよくある手ですが。
JRは、自分がどんなにファンを愛しているかを強調している。また、選手会のやり方が間違っていたとか、ファンにすまなかったとかも言っているし、「ファンは戻ってこなくていい」という発言は、「これからは自分たち選手はファンのためにがんばる。それがわからないファンは戻ってこなくていい」と言ったのであった(最後の発言はそのまま放送されている)。
JRほどファンを愛しているプロ・スポーツ選手はほかにいない(本人の弁)のは事実だろうし、彼以外にもファン・サービスやチャリティに熱心な選手がたくさんいることも知っている。ただ、彼の発言を詳しく読むと、やはり、「ファンは金持ちのスポーツ選手に嫉妬している」と彼が感じているのは確かだ。そして「強欲だ、甘やかされている」という言葉に苛立っているのも確か。
この件について、ESPNのサイトに興味深い記事が出ている。
執筆者は元アメフト選手のスポーツライター、ジェイソン・ホイットロック。スポーツ選手の生活が必ずしも天国でないことを十分によく知っている彼は、自分はNFLの選手になれなかったが、なれた選手に嫉妬したことなどない、と言い、一般のファンは選手に嫉妬しているという考えも間違いではないかと指摘する。
ホイットロックによれば、JRは「くたばれ」と言った直後に「個人的に、選手が甘やかされていると言うすべての人に言いたいのは、おまえたちは嫉妬しているだけだということだ」と言ったという。これについて、ホイットロックは、「プロ・スポーツ選手は、ファンは選手になれないから自分たちに嫉妬していると思っているようだが、それは違う。ファンは選手に過大な期待を抱いているから、彼らにつらくあたるのだ。アメリカでは根拠もなしに戦争を始めた大統領を国民の半分が支持してしまうということもあるのに、スポーツ選手はそういう大統領よりもずっと厳しい扱いを受けている。芸能人だったらこういう目にはあわないだろう」と述べている(訳ではなく要約です)。
これらの記事からわかることは、北米では選手に対するバッシングが相当に厳しいのだな、ということ。日本でもスポーツ選手には異常にモラルが求められていたり、バッシングが人気のバロメーターだったりすることもある。
ただ、NHLロックアウト中のメディアの記事や北米の掲示板を、すべてではないがある程度、見続けてきた私としては、選手が「強欲」、「甘やかされている」と言われるのにはやはり理由があると思う。特に2月のシーズン・キャンセルまでの選手会の態度は非常に悪かった。現在では選手たちも反省したり選手会を批判したりしているし、あの2月の紛糾のさなかにも、JRはじめ数人の選手が事態打開のために努力したことはよく知られている。
私自身は裏ブログで、ある時期まで、徹底的に選手会を批判していたが、個々の選手を強欲だと思っていたかというと、少し違う。彼らは世間知らずで常識がないと思っていたが、強欲というよりは、変化を恐れていたのだと思う。
JRは、「選手が損をし、オーナーが得をするのに、ファンは選手を批判する」とも言っているが、すべてのオーナーが得をするわけではない。収入の分配は結局、贅沢税でごまかされてしまいそうだから、金持ちチームのオーナーが一番得をすることになるのだろうが、それでも、これまで一番損をしていたチームとファンは少しは救われるようになると思う(そうでなければ困る)。
選手をバッシングするファンの中には、もちろん、好きなことをして大金を稼ぎ、いい生活をしているように見える選手に対する嫉妬から悪口を言っている者もいるだろう。だが、あちらの掲示板を見る限り、バッシングするファンの心理もさまざまで、その中にはまっとうな批判もたくさんあるのだ。
選手たちもそのあたりのことはわかっていて、だから苛立っていたのだろう、という気はする。ロックアウトが始まったばかりの頃、JRのチームメイトでもあるキース・プリモーが、ロックアウト問題で母親に叱られた。母親にさえも選手は強欲だと言われ、「ママも説得できないんじゃ、ファンを説得することなんかできない」とプリモーは嘆いたという。セイバーズの選手代表ジェイ・マッキーも、「ファンの怒りはわかるよ。でも、将来のために権利は守らないといけないんだ」というようなことを言っていたっけ。
ファンの怒りは愛の裏返し、選手の怒りも愛の裏返しと思いたい。そして、問題が決着したときに、どちらが勝ったとかも言ってほしくない。JRが言うように、勝つべきなのはファンなのだ。
「バットマンビギンズ」 05/7/1
NHLの労使交渉、今、解決すれば、「バットマンビギンズ」に引っかけて「Bettman begins new CBA」とかが見出しになる? 独立記念日までに、というのはやっぱり無理だろか。
去年の「The Hockey News」に、ベットマンが悪のバットマン、グッドナウが強欲なロビン・フッドの姿に描かれたマンガが出ていた。グッドナウにはロビン・グッドフェロウのしゃれもあるのだろう。
さて、映画の「バットマンビギンズ」見てきました。今回はなにげにネタバレがあるので、差し支えない人のみ、どうぞ。
予定を変更して、木曜日に見に行ってしまった。しかし、まだ始まったばかりだというのにガラガラ。アメリカじゃ大ヒットですでに続編製作が決定したとかいうのに……。日本では渡辺謙がチョイ役だとわかって急激に興味が失われたそうだけど、クライマックスが最近起こった大事故を連想させるのもつらい(まったくの偶然に違いないのだが)。
もともと、日本では「バットマン」は人気がないのである。ティム・バートン監督、マイケル・キートン主演の第1作が公開されたときも映画館はガラガラ。アメリカではもちろん大ヒットで、さらに3本が作られたのだが、あまりにもマニアックなシリーズで、私は大好きだったけれど、コミックの「バットマン」に思い入れも何もない日本の観客にはつらいだろう。
「バットマンビギンズ」も、ブルース・ウェインがバットマンになる過程がじっくりと描かれていて、特にブルースがバットマンの衣装や車を手に入れて、ついにバットマンとしての全貌を現わすあたりはバットマン・ファンには涙ものだろうなあと思う。
全体としてはとてもよく出来ていて、見終わったときには非常な満足感があった。のっけから説教臭い台詞が目白押しなのはナンだけど、こいつが一番のワルかと思ったら実は、という具合に、次々と上を行く悪が出てくるのもいい(自分が正義だと思ってるやつが一番の悪だったりしてね)。
ただ、ティム・バートンが監督した「バットマン」と「バットマン・リターンズ」、製作した「バットマン・フォーエヴァー」、バートンは離れたがその系列を受け継ぐ「バットマン&ロビン」では、悪役は心に傷を持つ人物で、それゆえに世の中を恨み、バットマンに挑戦することで恨みを晴らそうとしていた。毎回、悪役は大スターが演じ、彼らの演技が悪役の屈折した心理を表現していた。しかし、「バットマンビギンズ」にはそういう悪役は出てこない。大スターはたくさん出てくるが、彼らの役割は映画に花を添える程度。ただ、主役のクリスチャン・ベールはとてもよかった。「アメリカン・サイコ」などで注目はしていたが、「太陽の帝国」の少年もいい役者になったものである。